著者
桂 紹隆 吉田 哲 片岡 啓 志賀 浄邦 護山 真也 能仁 正顕
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成28年5月28日・29日に龍谷大学において国際ワークショップ「Bhaviveka and Satyadvaya」を開催した。京都大学の出口康夫教授の基調講演"Bhaviveka on Negation from a Contemporary Viewpoint"のあと、米国のDavid Eckel, Mark Siderits教授、中国の葉少勇、何歓歓、李生海博士、日本の一郷正道、斎藤明教授他8名、合計15名の研究発表が行われた。Eckel, Siderits, 一郷教授の発表は「インド学チベット学研究」第20号に既に掲載されている。李博士の研究は、Journal of Indian Philosophyに掲載される予定である。近年斎藤教授を中心に進められているBhaviveka(清弁)研究の国際ワークショップを引き継ぐものであり、上記の研究成果は、ラトナーカラシャーンティの『般若波羅蜜多論』の内容理解、とくに対論者である中観派の学匠の見解を同定するの大いに貢献した。『般若波羅蜜多論』を読解するための定例研究会を引き続き行い、平成29年3月には全編を読了することができた。主として関係文献へのレファレンスからなる詳細な和訳研究は一応完成することができた。ただし、梵語原典の校訂者である羅鴻博士の来日が実現しなかったため、「和訳研究」の出版には、もう少し時間をかけることとした。平成29年3月には、タイのマヒドン大学で開催された「ジュニャーナシュリーミトラ研究会」に参加し、『般若波羅蜜多論』の梗概を紹介すると同時に、ハンブルク大学のIsaccson教授の「有相証明論」の読書会に参加し、ラトナーカラシャーンティの「無相論」の理解を深めることができた。
著者
芳村 博実 荒牧 典俊 桂 紹隆 早島 理 能仁 正顕 内藤 昭文 藤田 祥道 乗山 悟 那須 良彦
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

「何が仏説か」という問いは大乗経典の登場によって部派仏教徒から初めて投げかけられたものではない。仏滅後徐々に増大していった初期経典のなかに「善説」であれば「仏説」であるという考えが登場し、アビダルマの学僧たちによって「法性に違わなければ仏説である」と定義されたのを受けて、大乗仏教徒たちは「大乗仏説論」を確立することができた。『大乗荘厳経論』第1章は、最も完成された「仏説論」を展開している。