著者
小林 紀子 臼井 俊博 新井 清一 福田 忠彦
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.36-44, 2002-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

人は種々の肌状態を評価する際に, 顔のどの部分をどのように見て判断しているのであろう。本研究の目的は, スキンケアで重視しなければならない部位や, 美しい肌を演出するために重視すべき部位を明らかにすることである。測定方法は, 「キメの粗さ」「つや」「なめらかさ」「肌の美しさ」など14項目についてモデルの肌を評価し, その際の眼球運動データを測定した。その結果, 頬や鼻は多くの評価項目において注視されることがわかった。「毛穴の目立ち」の評価では鼻の頭や小鼻のあたりに注視がみられ, 主観申告による判断部位と一致していた。また, 「つや」の評価では, 鼻の頭や頬のふくらんだ部分に注視の集中がみられた。このように, 評価する肌項目によって注視される部位が異なっていることが本研究より明らかとなった。さらに, 「肌の美しさ」の評価では, 頬上部から鼻周辺, 口周辺, 頬下部の範囲に注視が分布した。本研究により, 肌を評価する際の眼球運動が定量的に示された。このことは, スキンケアや美容に関するカウンセリングに役立つ情報が得られるだけでなく, 新しい皮膚計測法の開発において, 測定すべき部位を決めるためにも役立つと考えられる。
著者
神永 博子 臼井 俊博 四宮 達郎
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1, pp.21-26, 2001-01-20 (Released:2014-12-27)

ストレスは生体に様々な影響を及ぼすことが知られている.毛髪についても,ストレスで脱毛などの影響を受けることが経験的に知られているが,学術的な研究報告はほとんど見受けられない.そこで,ストレスが被毛成長に及ぼす影響についてモルモットを用いて検討を行った.その結果,ストレスは肉眼的に被毛成長を低下させると共に,毛長,毛径の有意な低下を引き起こすことが明らかになった.加えて,ストレスを受けた動物の成長毛は筋状の模様が形成され,被毛の質的な変化も引き起こすことが確認された.また,被毛成長と関連があるといわれているγ-glutamyl transpeptidase活性,skin sulfhydryl oxidase活性,alkaline phosphatase活性に有意な低下が観察され,ストレスは生化学的にも被毛成長に影響を及ぼしていることが明らかになった.これらのことから,ストレスは被毛成長に抑制的影響を及ぼしていることが示唆された.