- 著者
-
福田 早紀子
吉永 健
平田 奈穂美
石塚 洋一
入倉 充
入江 徹美
興梠 博次
- 出版者
- 一般社団法人 日本アレルギー学会
- 雑誌
- アレルギー (ISSN:00214884)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.11, pp.1521-1529, 2009-11-30 (Released:2017-02-10)
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
-
3
【目的】気管支喘息の薬物治療には,吸入薬が多く使用されている.しかしながら,不適切な操作やアドヒアランスの不良により,症状の改善につながらない場合もあるために,吸入治療には適正操作を習得できるように吸入指導が必須である.そこで,我々は,従来行っていた吸入指導よりも効果的な吸入指導方法を立案し,その有用性について検討した.【方法】2008年4月から8月の5ヵ月間に,熊本中央病院呼吸器科を外来受診した気管支喘息患者で,保険薬局に吸入薬を含む処方箋を持参した患者28名を対象とし,薬局で手技実演および視覚的ツールを活用した新たな吸入個別指導方法を導入し,操作改善について評価した.さらに,19名については,喘息コントロールテスト(Asthma Control Test:ACT)を用いて治療効果を評価した.【結果】保険薬局での新たな吸入個別指導法の導入によって,吸入操作が適切でなかった20例において,不適正操作項目の有意な改善がみられた.さらに,対象者のうち19名においては,ACTスコアの有意な上昇(19.1から21.4)が得られ,症状の改善が証明された.【結論】喘息治療に対して保険薬局における吸入手技実演および視覚的効果を生かした吸入個別指導の有用性が確認された.さらに,病院・薬局間での連携(病薬連携)が治療向上につながったと考える.