- 著者
-
中村 和芳
一安 秀範
徳永 健太郎
堀尾 雄甲
田中 秀幸
興梠 博次
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
- 雑誌
- 気管支学 (ISSN:02872137)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.6, pp.552-557, 2012-11-25 (Released:2016-10-29)
- 参考文献数
- 13
背景.イノシシ肉生食により生じたウエステルマン肺吸虫症の2例を経験した.症例.症例1; 69歳男性,検診にて左胸水貯留を指摘され,受診.末梢血および胸水中の好酸球増多を認め,胸水pH低値, LDH異常高値,糖は低値であった.症例2; 69歳男性,腹痛を主訴に外科入院.胸部CTで右上葉に浸潤影,右胸水貯留を認めたため,当科転科.末梢血好酸球増多を認めたが,胸水中好酸球増多はなかった.右上葉の経気管支肺生検にて好酸球浸潤を認めた. 2例ともイノシシ肉の生食歴があり,血清の抗ウエステルマン肺吸虫抗体陽性より診断し,プラジカンテル内服にて改善した.結論.ウエステルマン肺吸虫は,淡水カニ体内に寄生しこれらを不十分な加熱のまま経口摂取することで感染する.イノシシが待機宿主となっており,イノシシ肉の生食で感染することがある.胸水は特徴的な所見を呈し,本疾患を診断する上で重要であると考えられた.