- 著者
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船曵 孝彦
- 出版者
- 一般社団法人 日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.1, pp.162-166, 1991 (Released:2011-06-08)
- 参考文献数
- 6
- 被引用文献数
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進行胃癌に対する根治性の高い手術とは,広範な切除,広範リンパ節郭清(R3),袋状網嚢切除から成り立っている.広範な切除としてC領域を含んだ進行癌はすべて全摘を行っているが,本稿で述べるのは最も頻度の多い幽門側亜全摘R3術式である.リンパ節郭清は後腹膜から脾膵尾を遊離したり,肝十二指腸間膜内の脈管にTapingするなどにより,動脈,静脈,胆管などの脈管のみを残すよう剪刀を用いて軟部組織を除去する.1~3群のリンパ節は網嚢を取り巻いて存在することと,後壁漿膜に露出した癌からの剥離脱落した癌細胞による腹腔内播種の対策のため,網嚢を袋状に切除する.第3群リンパ節転移陽性はoverall 17.1%であり,深達度ps(+)となれば31.8%で,ps(+)以上からR3を行うべきである.n3(+)であっても郭清により生存率に差が出てきている.袋状網嚢切除によって後壁ps(+)症例における腹膜再発を予防しえている.