著者
花坂 哲
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.184, 2008

ナイル河東岸に位置するアコリス遺跡では、前1000年紀の居住域・墓域から、短い手足を持った人形(ヒトガタ)の粗製土製品が数多く出土する。それらは例外なく、腹部に「へそ状突起物」を持ち、頭部を欠いた状態で発見される。世界各地の古代社会に見られる「地母神」的な土製品や、日本の縄文時代の「土偶」研究を参考にしながら、宗教・神話体系ができあがっていた当時のエジプト社会における、民間信仰について論じる。
著者
川西 宏幸 周藤 芳幸 堀 賀貴 内田 杉彦 辻村 純代 津本 英利 花坂 哲
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

古代エジプトで外来系土器が増加するのは第20王朝からであり、第18・19王朝で主流をなしたミケーネ系をはるかに凌ぐ量がフェニキアからもたらされ、一部は模倣されたことが判明した。また、アコリス遺跡の発掘によって、第20王朝から第3中間期における地方社会の実態と交易の殷賑が立証された。すなわち、王朝の衰微と西アジアにおける強国不在状態が、地方社会の自立を促し、交易を隆盛に導いたという、文献史学が語りえなかった衰亡期研究の新たなパラダイムに逢着した点に、本研究の成果がある。