著者
永屋 恵子 横井 秀格 成井 裕弥 春山 琢男 吉井 良太 矢内 彩 芳川 洋 池田 勝久
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.8, pp.726-730, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1 1

症例は21歳の男性. ウイルス性咽頭炎の診断で入院加療となったが, 入院後全身状態が悪化し, 骨髄穿刺検査所見により血球貪食症候群と診断された. 患者が同性愛者であったことからHIV抗体を測定したが, 陰性であり, その後HIV-1 RNA定量よりHIVウイルス感染症と判明し, HIV初感染によるVAHSと診断した.本症例の経験から, ウイルス性咽喉頭炎様の症状が長引く時には急性HIV症候群も考慮し, HIV抗体のみならず, HIV-RNA量を測定する必要があると考えられた.
著者
山川 卓也 芳川 洋 飯村 尚子 都丸 香織 市川 銀一郎
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.261-270, 1998-08-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14

耳鳴は患者の心理的な要素が強く, 客観的な評価を行うことは難しい。このため耳鳴研究会により, 耳鳴に関する患者の訴えと医師側にとって重要な情報が十分客観的に得られる事を目的として, 標準耳鳴検査法1993が作成され, 臨床で利用されている。今回我々は, この耳鳴検査法と臨床的な利点, 問題点につき検討を加えた。対象は耳鳴を主訴として当科を受診した症例で男性: 55名, 女性: 52名の107名を対象として, まず標準純音聴力検査から聴力型 (無難聴型・高音漸傾型・高音急墜型・低音障害型・水平型・山型・Dip型・聾型・分類不能型) に分類した上で, 臨床的な有用性について検討した。結果として, 本検査法により患者の耳鳴をかなり的確に, かつ客観的に捉えることが可能であった。聴力型別に分けて検討することで, 耳鳴の特徴が捉えやすくなり, 耳鳴を医師がより正確に認識するのに役立ち, 本検査法の有用性を再確認した。
著者
福田 正弘 市川 銀一郎 原田 克己 芳川 洋
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.654-658, 1983 (Released:2010-04-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

The influence of the sleep stage upon the morphology and the response threshold of the acoustically evoked 40Hz ERP (Event Related Potential) was studied. The results were as follows:(1) The amplitude of the 40Hz ERP was most prominent when the subjects were awake, and during their sleep state, the amplitude of the response dicreased as they fall into the deep stage.(2) The response threshold of the 40Hz ERP in the awake state was 10±5.5dB and in the sleep stage, 24±4.6dB. These facts suggested that the threshold discrepancy was approximately 13dB and it seemed quite stable among subjects.(3) These data drow our attention to apply the 40Hz ERP for screening test of hearing evaluation.
著者
横井 尚子 石川 正治 加納 章子 芳川 洋 市川 銀一郎
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.185-193, 2003-07-31
参考文献数
9

目的:音響外傷による急性感音難聴の薬物治療には,ビタミン剤・循環改善剤等とともに,ステロイドホルモンの投与が多く行われており,特にステロイドホルモンで高い臨床効果が得られている.ステロイドホルモンは鼓室内投与によって内耳障害に治療効果を示すと報告されている.そこでわれわれは急性音響外傷モデルを作成し,デキサメタゾンの鼓室内投与の効果を聴性脳幹反応(以下ABR)および蝸牛神経複合電位(以下CAP)を指標に検討した.対象:鼓膜正常,プライエル反射正常のハートレー系モルモット(体重約400g) 方法:全身麻酔の後,局所麻酔下に気管切開し,筋弛緩剤を投与し人工呼吸管理下においた.両側の中耳骨胞を開放し,鼓室内に銀ボール電極を設置した.音響負荷としては,耳介側方3cmの位置より105dBSPL,4kHz純音を30分間与えた.音響負荷後同一個体の一側の鼓室内にデキサメタゾンを,対照として反対側の鼓室内に生理食塩水を鼓室内に充満するよう投与した.10分後薬液を除去した.音響負荷前,負荷直後,薬剤投与直後,音響負荷1時間後・2時間後のABRのI波潜時,蝸牛神経複合電位(CAP)のN1の潜時・振幅・閾値について検討した.結果:潜時・振幅ともデキサメタゾン投与側と対照側との間には統計的には有意な差は認められなかった.しかし各個体毎に検討するとABRのI波・CAP潜時の改善がより多く認められ,ステロイドの効果が示唆された.結論:潜時・振幅ともデキサメタゾン投与側と対照側との間には統計的には有意な差は認められなかった.
著者
山川 卓也 芳川 洋 安藤 一郎 市川 銀一郎
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.284-290, 1995
被引用文献数
1

剣道愛好家の中に, 難聴者が多いと言われている。我々は剣道難聴の原因を検討するために, 面打ち時の竹刀の打撃音, 頭部の衝撃 (振動加速度レベル), 及び両者の周波数分析を行った。また実験には当大学剣道部員 (三段) 2名の協力を得て, 竹刀の打撃時の強さ, 部位をなるべく一定にするよう練習をした後に行った。その結果, 竹刀の打撃音圧は面紐を強く縛った場合が120dB以上で最も大きく, エアークッションをいれるとやや小さくなった。また振動加速度レベルも面紐を通常よりも強く縛った場合が77dB以上で最も大きく, エアーや羽毛のクッションをいれた場合に振動の抑制が著明であった。以上より, 竹刀による打撃により難聴が発症する可能性が十分に示唆され, 今回我々の推奨した緩和材を用いれば打撃音圧と衝撃が減少させることが可能であった。
著者
横井 尚子 石川 正治 加納 章子 芳川 洋 市川 銀一郎
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.185-193, 2003-07-31

目的:音響外傷による急性感音難聴の薬物治療には,ビタミン剤・循環改善剤等とともに,ステロイドホルモンの投与が多く行われており,特にステロイドホルモンで高い臨床効果が得られている.ステロイドホルモンは鼓室内投与によって内耳障害に治療効果を示すと報告されている.そこでわれわれは急性音響外傷モデルを作成し,デキサメタゾンの鼓室内投与の効果を聴性脳幹反応(以下ABR)および蝸牛神経複合電位(以下CAP)を指標に検討した.対象:鼓膜正常,プライエル反射正常のハートレー系モルモット(体重約400g) 方法:全身麻酔の後,局所麻酔下に気管切開し,筋弛緩剤を投与し人工呼吸管理下においた.両側の中耳骨胞を開放し,鼓室内に銀ボール電極を設置した.音響負荷としては,耳介側方3cmの位置より105dBSPL,4kHz純音を30分間与えた.音響負荷後同一個体の一側の鼓室内にデキサメタゾンを,対照として反対側の鼓室内に生理食塩水を鼓室内に充満するよう投与した.10分後薬液を除去した.音響負荷前,負荷直後,薬剤投与直後,音響負荷1時間後・2時間後のABRのI波潜時,蝸牛神経複合電位(CAP)のN1の潜時・振幅・閾値について検討した.結果:潜時・振幅ともデキサメタゾン投与側と対照側との間には統計的には有意な差は認められなかった.しかし各個体毎に検討するとABRのI波・CAP潜時の改善がより多く認められ,ステロイドの効果が示唆された.結論:潜時・振幅ともデキサメタゾン投与側と対照側との間には統計的には有意な差は認められなかった.