著者
芳本 信子 村上 洋子 菅沼 大行 稲熊 隆博 永田 豊 宮地 栄一
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.23-28, 2003-05-29

抗酸化能が認められているリコピンをMndマウスに経口投与して発育に伴う中枢神経組織内のSODおよびCO活性の変動を測定した.そして,非Mnd対照マウスの測定結果と対応させながら,Mndマウスにおける運動傷害の原因因子の検討を行った.1.遺伝的神経変性疾患モデル動物であるMndマウスの脳および脊髄組織内SOD活性値は,発育に伴い徐々に減少したが,リコピンを経口投与したMndマウスは,酵素活性の回復傾向がみられた.これは,抗酸化能が認められているリコピンが,Mndマウス脳の成長段階で産生される細胞毒性の酸素フリーラジカルを消去することが示唆された.2.Mndマウス大脳皮質組織内で,好気的エネルギー産生に関与するCO活性はマウスの発育にともなって次第に減少したが,リコピンを連続経口投与することによって細胞傷害性のO_2-基を中和して,正常なエネルギー産生代謝の回復が認められた.従って,神経変性が持続的に進行するMndマウスの中枢神経組織内では,リコピンの連続投与は細胞毒性を示す活性酸素基を消去する抗酸化作用を助けて,エネルギー産生代謝系に作用して神経変性の進行を阻害し,症状の発現を遅延させる効果を有することが確認された.
著者
芳本 信子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.141-149, 1996

近年, 日本の食文化は「飽食」「食の簡便化」「外食化」あるいは「食の外部化」などの流行語に左右されるような食生活の変容がみられる.この現象は, 1960年頃からの産業構造の高度化と家庭の幸せを重視したマイファミリー家族の誕生した時代に由来する.加工技術の進歩によって開発されたインスタント食品, また, 1985年秋から始まった肉類や乳製品の輸入枠の拡大による異食文化との接触やマス・メディアによる多彩な情報によって, 生活はますます豊かになった.そして, これらに深く関わっていると考えられるのが, 象徴的に増加を続ける動物性脂肪である.それは同時に潜在性疾患に続く, 慢性疾患(成人病)の増加を招き, 疫学的調査においても, それらは相関関係にあることが立証されるようになった.厚生省をはじめとする各省は危機感をもって, 日本国民全体の食生活の内容を指導する提言をまとめた.このような日本における食文化の変容の過程に介在する人間(特に母親)が環境と主体的にかかわる生活の中で, いかに食文化変容にかかわっているのかの検討を各種, 文献を用いて試みた.母親を通して, 好ましい食文化が, 各世代ごとに適切に認識されることは, 個人の健康のみならず, 社会全体の健康を約束することになるからである.
著者
芳本 信子 吉川 祐子 吉田 久江 菅沼 大行 山根 理学 稲熊 隆博 内藤 敬子 内藤 耕太郎
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-7, 2007-03-31 (Released:2019-07-01)

トマトやすいかに含まれ, 強い抗酸化作用を有するリコピンの摂取が, 2型糖尿病患者の酸化障害を軽減する可能性を考慮して血糖値, 特に糖化ヘモグロビン(HbA1c)の変動に及ぼす影響を検討した.リコピン摂取前平均7.9%であったHbA1cは, 摂取1年後には6.8%に低下し改善が認められた.2型糖尿病患者の高血糖による弊害をコントロールする1つの方法としてリコピンの含まれている食品を継続摂取することの有用性が示唆された.
著者
芳本 信子 村上 洋子 菅沼 大行 稲熊 隆博 永田 豊 宮地 栄一
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.23-28, 2003

抗酸化能が認められているリコピンをMndマウスに経口投与して発育に伴う中枢神経組織内のSODおよびCO活性の変動を測定した.そして,非Mnd対照マウスの測定結果と対応させながら,Mndマウスにおける運動傷害の原因因子の検討を行った.1.遺伝的神経変性疾患モデル動物であるMndマウスの脳および脊髄組織内SOD活性値は,発育に伴い徐々に減少したが,リコピンを経口投与したMndマウスは,酵素活性の回復傾向がみられた.これは,抗酸化能が認められているリコピンが,Mndマウス脳の成長段階で産生される細胞毒性の酸素フリーラジカルを消去することが示唆された.2.Mndマウス大脳皮質組織内で,好気的エネルギー産生に関与するCO活性はマウスの発育にともなって次第に減少したが,リコピンを連続経口投与することによって細胞傷害性のO<sub>2</sub>-基を中和して,正常なエネルギー産生代謝の回復が認められた.従って,神経変性が持続的に進行するMndマウスの中枢神経組織内では,リコピンの連続投与は細胞毒性を示す活性酸素基を消去する抗酸化作用を助けて,エネルギー産生代謝系に作用して神経変性の進行を阻害し,症状の発現を遅延させる効果を有することが確認された.