著者
浦越 拓野 徳永 朋祥 茂木 勝郎
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.181-197, 2005-05-25
参考文献数
19
被引用文献数
6 3

海底地下水湧出現象は,陸域水循環系の出口のひとつとして,また,陸域起源物質の沿岸域への供給経路のひとつとして重要である.海底地盤中の地下水流れのポテンシャル場や水理特性は,海底地下水湧出現象を規定する要因であり,これらを明らかにすることは,海底地下水湧出現象を理解する上で重要である.そこで,本研究では,海底地盤中の2深度での間隙水圧の長期連続測定から,鉛直間隙水圧分布と水理特性を評価する手法の開発を行い,海底地下水湧出の存在が知られている黒部川扇状地沖合に適用した.その結果,海底面下0.5m及び0.84mでの間隙水圧が静水圧よりそれぞれ0.23kPa及び0.63kPa程度高いことが明らかになった.また,波浪に対する間隙水圧の応答から,地盤のhydraulicdiffusivityが0.3-1.2m<SUP>2</SUP>/sと評価された.これらから,海底地下水湧出の流束は1.8×10<SUP>-6</SUP>-5.6×100<SUP>-5</SUP>m/sと推定された.
著者
徳永 朋祥 片山 浩之 知花 武佳 福士 謙介 多部田 茂 原口 強 浅井 和見 松岡 達郎 井上 誠 秋山 知宏 茂木 勝郎 端 昭彦 甲斐荘 秀生 LUN SAMBO 後藤 宏樹 本宮 佑規
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

カンボジア王国のシエムリアップ市、バッタンバン市周辺を対象とし、地下水環境並びに地表水環境、地表水と地下水の関連について検討を行った。シエムリアップ市では、地下水と表流水との交流が比較的活発であり、また、地下水の利用も相対的に容易である一方、バッタンバン市周辺においては、表流水と地下水との交流は活発ではなく、地下水利用も一部の地域を除いてそれほど容易でない状況が見られた。このような違いは、両都市の地質学・地理学的位置づけに依存していることが考えられた。また、トンレサップ湖の堆積物を用いた古環境解析や水中に存在するウイルスの定量化に関する検討も実施し、成果を得た。