著者
田村 桂一 荒井 耕
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.95-103, 2023-07-31 (Released:2023-12-15)
参考文献数
15

病院建築の知見やノウハウの蓄積の状況について,病院に対するアンケート調査及びインタビュー調査により明らかにした。アンケート調査の結果からは,病院建築を行う病院のうち8割では,病院建築に関する知見やノウハウを明文化した文書は整備されておらず,病院建築以前に知見やノウハウの蓄積が行われていないことが分かった。また,病院建築の当時の担当者が10年程度経つと,3割ほどの病院で在籍しておらず,人的にも知見の蓄積が難しいことが分かった。したがって,病院建築の際に有用な情報を得ようとするならば,外部から収集する必要があると考えられる。インタビュー調査の結果からは,外部からの情報収集手段としては,他の病院の視察,病院建築プロジェクトチームへの建築系人材や病院建築研究者の参加,建築事業者からの情報提供が一般的であった。中でも,他の病院の視察が外部からの情報収集手段として最も多く挙げられていた。
著者
阪口 博政 古井 健太郎 荒井 耕
出版者
一般社団法人 日本医療経営学会
雑誌
日本医療経営学会誌 (ISSN:18837905)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.37-49, 2023 (Released:2023-10-04)
参考文献数
35

The purpose of this study was to clarify the materials management in healthcare institutions. In particular, we focused on the SPD service which is called in case of outsourcing. For this purpose, a systematic review was conducted in November 2021 using the two literature databases, and finally 219 sources were analyzed.First of all, SPD services in medical supplies became popular in the late 2000s, and SPD services in pharmaceuticals have increased rapidly from the early 2010s. Next, SPD services in outsourcing were generalized in the early 2000s. Typically, SPD in medical supplies consist of three aspects; first is purchasing, conveyance and inventory control, second is the handling of medical materials, general consumables and sterile product, and third is the locations in consultation room, ward and operating room. In addition, SPD in pharmaceuticals is conducted through purchasing, receipt inspection, inventory control, picking in patient unit and conveyance.
著者
阪口 博政 古井 健太郎 荒井 耕
出版者
一般社団法人 日本医療経営学会
雑誌
日本医療経営学会誌 (ISSN:18837905)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-32, 2022 (Released:2022-10-07)
参考文献数
37

The purpose of this study was to clarify the departmental general trends of the Management and Planning Office in healthcare institutions. In particular, we focused on; the department morphological overview, the business content, and the human resources involved, while compared to general companies. For this purpose, a systematic review was conducted in September 2020 using the literature databases, and finally 97 literatures were targeted.First of all, Management and Planning Office were in the stages of being set up in healthcare institutions. Next, it was set up by about 4-6 people under the top management, or in the administrative organization depending on the establishment. In addition, it became clear that the work is mainly concentrated on special projects and institutional strategy. Last, those members are required to have medical knowledge and communication skills.
著者
阪口 博政 荒井 耕 高瀬 浩造
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.141-148, 2016

本研究の目的は,医療管理学におけるマネジメント教育・会計教育の構成内容を把握することである。研究は,2000年代以降の医療管理学に関する文献を対象とする,文献レビューとして実施された。構成内容として,「医療制度・政策」が最も重視されており,「組織管理」「人材管理」といった伝統的に研究されてきた内容がそれに続くととともに,「経営戦略」「会計管理」といった近年重視されている領域についても多く記載されていた。さらに,「会計」領域については「財務会計」「財務分析」「管理会計」を理解するための内容が提供されている。「管理会計」については,「損益分岐点分析」「原価計算」「意思決定会計」といった経営トップ層が必要とし最初に実践に向かうと考えられる手法紹介が重視されていることが明らかになった。
著者
荒井 耕 尻無濱 芳崇
出版者
The Health Care Science Institute
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.283-293, 2011

医療法人経営の複雑化と法人規模の拡大により,現場管理者へのある程度の権限移譲が進みつつある。そのため,各現場の業績を把握・評価したり,現場管理者に経営の自律性を働きかけたり,現場に期待する方向性を明確にしたりする必要性が増し,事業計画制度の重要性が増々高まっている。本研究では,多くの法人が事業計画制度を導入しており,財務関連事項を中心に目標管理され重視されているが,質に関連する事項も同時管理している法人も多くなっていることを明らかにした。また計画事項間の大半の因果関係をかなり考慮している法人も多く見られた。つまり,因果関係の考慮度や管理対象業績側面の多様性の高いBSC的性格を有する事業計画制度が見られるようになった。ただし因果関係考慮と視点包括度の両面からBSCとしての性格を持つ事業計画制度は,まだ十分には普及していない。また,現状の事業計画制度は,まだ分析的利用が中心ではあるが,権限移譲の進展とともに,働きかけ的利用の必要性が増々高まると考えられる。特に働きかけ的利用については,視点包括度と因果関係考慮度の両観点においてBSCとしての性格の強い事業計画制度を持つ法人の方が,利用度が高いことが判明している。働きかけ的利用の促進という点に加えて,医療界における多面的業績の統合管理や無形資産管理の重要性からも,BSCと親和性の高い事業計画制度の展開が重要である。