著者
栗原 敏 福田 康一郎 佐藤 達夫 江藤 一洋 福島 統 神津 忠彦 高瀬 浩造
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2001

1.共用試験Computer-based Testing (CBT)の試験システムの開発および運用に関する研究:平成13年度にCBTシステムの基本的開発を行った。データベース構造および問題入力ソフトについては東京慈恵会医科大学において総合試験システム(Exam98)を参考に研究、開発を行い、出題方式(コンピュータ試験)、サーバーでの問題管理などは独自開発を行い、平成14年2月からの第1回CBTトライアルに投入した。第1回トライアルで発見されたシステム上の問題点を平成14年度の本研究により改修し、平成15年2月からの第2回CBTトライアルに投入している。2.MCQ問題の作成とその質の確保に関する研究:第1回トライアルでは5肢択一形式のいわゆるタイプAの多肢選択問題を出題し、出題したすべての問題を解答率、識別指数、解答パターンを参考に検証した。この検討の結果、共用試験CBTの問題の質を確保するためには、項目反応理論の適応が必要であるとの結論に至り、現在、項目反応理論のCBTへの適応の検討が続いている。第2回CBTトライアルでは、さらにわが国の独自開発による順次解答型連門形式を試行している。順次解答2連門形式、順次解答4連門形式は、コンピュータ試験の特性を生かしたもので、問題解答後次の問題に移ったら前の問題には戻れないタイプのもので、紙と鉛筆の試験では実施できなかったものである。このタイプを用いることで、受験者が一つの症例について順次情報が集積されていく過程の中での判断を問うものである。本形式は米国のSTEP1にもなく、わが国独自の出題形式である。3.客観的臨床能力試験(OSCE)の開発と運用に関する研究:平成13年度の共用試験OSCEは医科、歯科あわせて20校で、少数トライアルとなった。この第1回OSCEトライアルでの学生成績を集め、評点の評価者間較差の研究を行った。4.歯学における試験の作成と運用に関する研究:医科、歯科ではとくにOSCEの課題に大きな相違があり、その相違が運用にどのように影響するかのデータを集積した。
著者
小西 秀和 荒木 孝二 砂川 光宏 高瀬 浩造 加藤 熈
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.455-465, 2007-08-31
被引用文献数
11

近年,多くの医療機関において「院内感染」という病院内の安全管理に支障をきたす事態が多数発生しており,一般開業歯科診療所や病院歯科においても例外ではない.そこで本研究では,日常的な歯科臨床を実践するうえで,歯科医師会に属する歯科医師の院内感染予防対策意識の現状を明らかにすることを目的とした.山口県内の歯科医師(歯科医師会会員)744名に対して,感染予防対策に関するアンケート調査を実施したが,その設問内容は,対象とした歯科医師の年齢層,日常的な歯科臨床での感染予防対策などの12項目とした.回収したアンケートを集計し,Spearman ρ相関分析にて統計学的分析を行って,各設問回答間の相関程度など歯科医師の感染予防対策意識の現状を検索した結果,次のことが明らかとなった.1. 感染予防対策のアンケート回収率は24.2%であった.代表的な設問での最高の回答率の選択肢を列挙すると,ユニバーサル(スタンダード)プリコーションの認知度は「全く知らない」(43%),帽子やプラスチックエプロンなどの着用は「ほとんど着用しない」(62%)など,本調査時点で多くの歯科医師が万全な感染予防対策を実践していない可能性が考えられた.2. しかし,手洗いの方法は「日常手洗いと衛生的手洗い」(61%),ウイルス性肝炎患者の歯科診療は「診療を行っている」(95%)など,感染予防対策の重要性を認識している歯科医師は比較的多いと思われた.3. 相関分析の結果,歯科医師の年齢が若いほど,帽子やブラスチックエプロンなどの着用には消極的であるが,グローブの着用交換,ウイルス性肝炎患者の歯科診療を積極的に行っている可能性が高いこと,またユニバーサル(スタンダード)プリコーションの認知度が高いほど,グローブの着用交換,帽子やプラスチックエプロンなどの着用,エイズ・結核患者来院時の対応,診療時の飛沫粉塵対策を積極的に行っている可能性が高いことが,有意に示された.以上の結果から,改正感染症法の施行に伴い,今後歯科医師へ院内感染予防対策の啓蒙や研修の機会を増やし,国際歯科連盟(FDI)の声明や米国疾病管理予防センター(CDC)ガイドラインなどに示された具体的な感染予防対策の普及促進が実現すれば,各自の歯科診療室を衛生的で快適な診療環境に整備できると考えられる.
著者
阪口 博政 荒井 耕 高瀬 浩造
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.141-148, 2016

本研究の目的は,医療管理学におけるマネジメント教育・会計教育の構成内容を把握することである。研究は,2000年代以降の医療管理学に関する文献を対象とする,文献レビューとして実施された。構成内容として,「医療制度・政策」が最も重視されており,「組織管理」「人材管理」といった伝統的に研究されてきた内容がそれに続くととともに,「経営戦略」「会計管理」といった近年重視されている領域についても多く記載されていた。さらに,「会計」領域については「財務会計」「財務分析」「管理会計」を理解するための内容が提供されている。「管理会計」については,「損益分岐点分析」「原価計算」「意思決定会計」といった経営トップ層が必要とし最初に実践に向かうと考えられる手法紹介が重視されていることが明らかになった。
著者
寺本 研一 高瀬 浩造 寺岡 弘文 有井 滋樹 斉藤 佳子 田中 雄二郎
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1)ES細胞より肝細胞の分化誘導に関する研究前年度までの研究で、我々はマウスES細胞より胚様体細胞を経由してアルブミン産生細胞を分化させることに成功した。この細胞は尿素合成能、アンモニア分解能を持ち、肝細胞にきわめて近い細胞と考えられた。この細胞をC57BL/6マウスに肝障害の条件下細胞移植したところ生着し、アルブミンを産生した。しかしながら、同時に20-30%の頻度で奇形腫の発生をみた。今回、奇形腫発生を抑制するために、細胞のセレクションを行った。まず、胚様体細胞より単層細胞培養を行い15日目に分離し、パーコール法により比重で細胞をセレクションした。この細胞群はoct3/4の発現はネガティブであった。この細胞を上述の肝障害モデルマウスに移植したところ奇形腫の発生は認めなくなった。以上より、ES細胞より奇形腫の発生しない細胞群の回収が可能になった。また、さらにこの細胞群をFACS, MACSを使用し他の血球成分を除去することによりアルブミン陽性細胞を多く得ることが可能になった。また、これらの細胞は四塩化炭素による強い肝障害マウスにおいて凝固因子を有意に増加させることが判明した。2)カニクイザルES細胞ES細胞の臨床応用を目指して霊長類カニクイザルES細胞から肝細胞の分化誘導を試みた。霊長類ES細胞の分化誘導はマウスES細胞の分化誘導と異なる方法が必要であるが、我々の方法でアルブミン産生細胞を誘導することができた。3)血からの肝細胞の分化誘導我々は膀帯血からの肝細胞分化誘導に成功したが、アルブミンとCK-18、アルブミンとCK-19を発現する2種類の細胞を確認した。現在、胆管上皮細胞に分化誘導が可能かどうか研究中である。