著者
荒巻 功 江辺 正英 三浦 剛史 吉井 美華
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.12, pp.837-847, 2011 (Released:2017-03-28)
参考文献数
20
被引用文献数
5 8

酒造用原料米の無機成分の含有量について,品種や精米歩合ごとの測定を行い以下の結果を得た。(1)無機成分含量を比較すると,酒造好適米は一般米に比べてKが有意に高かった。また,五百万石,美山錦,兵庫北錦は,K,P,Mgが高く,山田錦は,Sが最も低かった。(2)玄米中の無機成分含量は,従来の報告と比較すると,P,K,Mgは低く,Ca,Mn,Feは同程度であった。同一地域産,同一品種での年度間差異はSiにバラツキがみられたが,その他の元素には大きなバラツキはなかった。(3)同一圃場で生産された山田錦と日本晴を比較すると,山田錦は,日本晴に比べて,有意にFe,Sが低く,2品種間の差異が認められた。(4)精米による含有量の変化を調べた結果,K,P,Ca,Mg,Mn,Siは,精米により玄米から精米歩合70%の間に急激に減少したが,精米歩合70~30%では,大きな変化はみられなかった。Sは,玄米から精米歩合30%まで精米歩合が低くなるにつれ直線的に減少した。(5)山田錦と五百万石の心白粒と無心白粒を精米歩合別に無機成分含量を比較した結果,顕著な差異は認められなかった。(6)SEM/EDXによる観察から,P,K,Mgはアリューロン層に,Siは玄米の果皮の表面部分に多く分布することが明らかとなった。
著者
岩野 君夫 三上 重明 福田 清治 椎木 敏 島田 豊明 小幡 孝之 木崎 康造 新里 修一 荒巻 功 佐伯 宏
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.495-498, 1986-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
9

南九州の焼酎製造場で実際に使用されている白麹を集め, 各種酵素活性の調査を行ったところ以下の知見を得た。1. 焼酎白麹の各種酵素バランスを清酒麹と較べてみると, α-amylaseが極端に低く, glucoamylaseとacid carb0xypeptidaseはほぼ同程度, acidprotease, transglucosidaseが極めて高くかつ生でん粉分解力を有するのが特徴である。焼酎白麹と泡盛麹の酵素活性を較べてみると, 活性のバランスはほぼ同様であるが, 泡盛麹は全体的にやや活性が低い。2. 焼酎白麹は調べた6種類の酵素活性とも変動率が17~40%と大きく, 最大値と最小値を較べると約2.7倍の大きな差があつた。3. 米麹と麦麹を較べると, 麦麹は6種類の酵素活性のすべてが低く, 特にα-amylase, transgnucosidase, acid proteaseに大きな違いが認められた。終りに臨み, 本実験に御協力をいただいた当研究室, 甲斐文男君, 未広康夫君に, 御指導を賜わりました当試験所中村欽一所長に深謝致します。