著者
植木 幸孝 荒牧 俊幸 辻 良香 來留島 章太 小島 加奈子 川内 奈津美 寺田 馨 江口 勝美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.10, pp.2118-2124, 2017-10-10 (Released:2018-10-10)
参考文献数
13

高齢者関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は,若年発症RA(younger-onset rheumatoid arthritis:YORA)が高齢化したRAと,60歳以上で発症したEORA(elderly-onset rheumatoid arthritis)に分類される.EORAでは,YORA同様,T2T(treat to target)に準じた治療を行い,低疾患活動性を目標にコントロールするのが現実となっている.しかし,高齢者は多彩な合併症を有しており,高齢化RAと同様,治療にあたり合併症の増悪や薬物による有害事象を定期的にモニタリングすることが重要である.
著者
川尻 真也 川上 純 岩本 直樹 藤川 敬太 荒牧 俊幸 一瀬 邦弘 蒲池 誠 玉井 慎美 中村 英樹 井田 弘明 折口 智樹 江口 勝美
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.190-194, 2008 (Released:2008-06-30)
参考文献数
12

症例は56歳,女性.主訴は多発関節痛.1999年に拇趾MTP関節の痛風発作を発症した.その後,痛風発作を繰り返すもコルヒチン内服にて症状は軽快していた.しかし,2006年頃より関節痛は全身の多関節におよび,持続性となった.2007年4月,多発関節炎の精査加療目的にて当科紹介入院となった.入院時,著明な高尿酸血症を認めた.入院中,関節炎発作による全身の関節痛および高熱を認めた.関節液所見にて白血球に貪食された尿酸ナトリウム針状結晶を認め,痛風と診断した.デキサメタゾン4 mg筋注およびコルヒチン投与により症状は改善した.

1 0 0 0 OA RS3PE症候群

著者
折口 智樹 有馬 和彦 梅田 雅孝 川㞍 真也 古賀 智裕 岩本 直樹 一瀬 邦弘 玉井 慎美 中村 英樹 川上 純 塚田 敏昭 宮下 賜一郎 溝上 明成 岩永 希 古山 雅子 中島 好一 庄村 史子 荒武 弘一朗 荒牧 俊幸 植木 幸孝 江口 勝美 福田 孝昭
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.48-54, 2019-03-30 (Released:2019-07-03)
参考文献数
16

概念:1985年にMcCartyらは,高齢で急性発症の左右対称性の多発(腱鞘)滑膜炎と手足の背側の浮腫を認める,RS3PE症候群という疾患概念を提唱した.病因・病態:血清Vascular endothelial growth factor(VEGF)濃度の著明な増加が認められ,関節局所の血流増加に関与しているものと考えられる.検査所見:赤血球沈降速度の亢進,CRPの高値を認めるが,リウマトイド因子,抗CCP抗体は陰性である.血清MMP-3濃度が著明に増加する.特に悪性腫瘍を合併した症例の血清MMP-3濃度は高値を示す.手関節の造影MRI検査では,手関節,MCP関節,PIP関節の腱滑膜炎と血流増加を認める.関節超音波検査においても,MRI同様,腱鞘滑膜炎および皮下浮腫の所見が認められる.関節X線画像上変形がないことが,RAとの鑑別に有用である.悪性腫瘍の合併:本疾患は胃癌,大腸癌,肺癌,乳癌,前立腺癌などの腺癌の合併が多いことが明らかになっている.治療:通常プレドニゾロン10~15mg/日の内服で開始する.初期投与量を投与する.通常,ステロイド薬に対する反応は劇的で1~2週以内に寛解に至る.