著者
高橋 雅彦 菅原 智義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.63, pp.29-36, 2004-06-17
参考文献数
11
被引用文献数
1

24時間365日運用可能なサービスを実現するためには、サービスを実行しているサーバの定期メンテナンスなどのときにサービスを透過的に移動できなければならない。そこで我々は、TCPセッションが切断されないプロセスマイグレーション方式を提案する。提案方式はオーバヘッドが低く、クライアント側のOSやアプリケーションの改造を必要としない方式である。したがって、既存のサービスにそのまま適用でき、透過的なサービス移動が実現出来る。これを実現するために、プロセスマイグレーションを同一サブネット内に特化し、OSレベルのプロセスマイグレーション実装と、プロセスごとに割り当てられた仮想IPアドレスを用いた。本方式を実装し、仮想IPアドレスを使用することによるオーバヘッドを測定したところ、約0.15%と極めて低いことを確認した。更に、ApacheやHelixDNAServerといった実アプリケーションも、クライアントとの通信が切断されることなく移動可能であり、実用性を検証した。To improve a service availability operating 24 hours a day for 365 days a year, it is important to support a service continuity mechanism independent on execution hardware and network environment. To achieve it, we propose a method of process migration with TCP session continuity. A Virtual IP address is provided for each service process, and is also migrated when the process is migrated to another computer. Since our method enables a server process migration without changing its communication address, there is no need to modify client-side sisters. Our prototype's overhead on usual network communications is extremely low about 0.15% with additional 19 virtual IP address on a NIC. Furthermore, we have validated that real applications such as Apache and HelixDNAServer are able to be migarated without lost connections.
著者
鈴木 順 馬場 輝幸 飛鷹 洋一 樋口 淳一 加美 伸治 内田 智士 高橋 雅彦 菅原 智義 吉川 隆士
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告システムソフトウェアと オペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.7, pp.1-8, 2010-01-20
参考文献数
21
被引用文献数
1

クラウドコンピューティングでは、サービスの実施状況にあわせた性能スケールアップが求められる。しかし、計算システムの性能を大きく左右するメモリは各コンピュータに個別に搭載されている以上の拡張は困難である。本稿では、PCI Express (PCIe) にフラッシュメモリコントローラを直結した PCIe 型 Solid State Disk (SSD) を我々の開発した PCIe over Ethernet 技術、ExpEther でネットワーク接続し、これを仮想メモリに割当てる事でシステムメモリの拡張を実現した。SSD へはイーサネット越しに Direct Memory Access (DMA) による高速低遅延データ接続が行え、これをスワップデバイスとして用いることで、ソフトウェアとハードウェアとも市販のままで簡便にメモリ拡張が可能となる。これを用いて実機により、データベースのベンチマークで 2 GB のローカルメモリに対して 10 GB の DB サイズを取っても十分なシステム動作が得られる事を確認した。For cloud computing, computer infrastructures need to provide computing resources adaptively, in accord with the resource utilization. Resources include, however, local memories that cannot exceed the amount loaded to each computer. We present a method for adaptively attaching a PCI-Express-based solid state disk (SSD) to a computer and expand its local memory using virtual memory system. We use PCI Express (PCIe) over Ethernet technology "ExpEther", to interconnect a computer and an SSD via a standard Ethernet. The data transfer between the local memory of the computer and the SSD is performed with direct memory access (DMA). Assigning an SSD to a computer as a swap device allows the local memory of a computer to be expanded without any change to current software or hardware. With our proposed method, we are able to achieve a database benchmark output maintaining its performance even when 10-GB database size is loaded to a 2-GB local memory system.
著者
今井 哲郎 荒木 壮一郎 菅原 智義 藤田 範人 末村 則彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.691, pp.199-202, 2004-02-26

大規模停電などの地域全体に累が及ぶような災害が発生した際にも,データセンタで行われている真に重要な業務は,それを引き続き継続させる必要がある.本報告では,セッションマイグレーション方式による障害回避方式の提案およびその動作実証を行った.セッションマイグレーション方式は,プロセスマイグレーション技術と,ユーザ収容VLAN切換技術と,GMPLSなどの動的帯域確保技術とを連携制御して,ユーザとのセッションを維持したまま,遠距離でのサブネット越しプロセスマイグレーションを行う技術である.この技術により,災害発生時にもサービスを停止することなく遠隔地のデータセンタヘ業務を移行させることができる.
著者
今井 哲郎 荒木 壮一郎 菅原 智義 藤田 範人 末村 則彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.689, pp.199-202, 2004-02-26
被引用文献数
3

大規模停電などの地域全体に累が及ぶような災害が発生した際にも,データセンタで行われている真に重要な業務は,それを引き続き継続させる必要がある.本報告では,セッションマイグレーション方式による障害回避方式の提案およびその動作実証を行った.セッションマイグレーション方式は,プロセスマイグレーション技術と,ユーザ収容VLAN切換技術と,GMPLSなどの動的帯域確保技術とを連携制御して,ユーザとのセッションを維持したまま,遠距離でのサブネット越しプロセスマイグレーションを行う技術である.この技術により,災害発生時にもサービスを停止することなく遠隔地のデータセンタヘ業務を移行させることができる.
著者
小比賀亮仁 菅原 智義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.77, pp.93-100, 2008-07-30

近年、セキュリティー対策としてカーネルにパッチを適用する機会が増えている。カーネルにパッチを適用するには、システムを再起動しなくてはならない。しかし、システムは 24 時間 365 日、ユーザに対してサービスを提供し続けることが求められている。よって、パッチ適用の際のシステム再起動時間は可能な限り短縮する必要がある。この問題に対して、我々は、システムの再起動時間のうち、プロセスの再起動が最も時間のかかる処理であることに着目し、プロセスの状態は保持したままカーネルのみを再起動するシステムの高速再起動方式を開発した。同方式は、メモリ上のプロセスデータは保持したままカーネルのみを入れ替え、その後、メモリ上に保持されているプロセスデータを用いて、再起動前に実行されていたプロセスを途中状態から再開することができる。本方式により、従来のシステム再起動時間を最大で約 48% 削減することができた。In this paper, we suggest a quick reboot mechanism which allows us to reduce down time on our system during updating kernel. There are non-stop systems which gives us some services during 24 hours, every day. However, in the past several years, number of cases that we have to apply some kernel patches for security updates has been increasing. In order to do it, we have to reboot our systems. Our mechanism reboot systems to updates the kernel with preserving some memory areas which was used by processes. After rebooting we resumes recent processes which were executed on our system before rebooting, using the memory areas which are preserved. Our mechanism can reduce reboot time of our system because our mechanism can get rid of disk access and reduce numbers of memory copy during rebooting. We have accomplished reducing 48% of system reboot time.