著者
菅根 幸裕
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.64, pp.一-四七, 2021-06-01

筆者は近世における俗聖、特に空也聖の実態について、京都市空也堂の史料を中心に分析してきた。そうした中、なぜ俗聖が空也堂と本末を結んだのかがポイントとしてきた。本論は、六歳念仏講と末流(茶筅・鉢屋)を中心に、空也聖の近世から近代への変容を考えてみたい。 特に空也堂配下が一堂に会した歴代天皇の焼香式については、その記録を詳細に分析したいと考えている。そのうえで空也堂と六斎念仏講及び末流が本末を結ぶことのメリットは何であったのかを考察するものである。言い換えれば、空也堂はなぜ歴代天皇の焼香式を行ったのか、六斎念仏講や末流がこれに供奉することでどのような特典があったのかを分析してみたい。
著者
菅根 幸裕
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.64, pp.一-四七, 2021-06-01

筆者は近世における俗聖、特に空也聖の実態について、京都市空也堂の史料を中心に分析してきた。そうした中、なぜ俗聖が空也堂と本末を結んだのかがポイントとしてきた。本論は、六歳念仏講と末流(茶筅・鉢屋)を中心に、空也聖の近世から近代への変容を考えてみたい。 特に空也堂配下が一堂に会した歴代天皇の焼香式については、その記録を詳細に分析したいと考えている。そのうえで空也堂と六斎念仏講及び末流が本末を結ぶことのメリットは何であったのかを考察するものである。言い換えれば、空也堂はなぜ歴代天皇の焼香式を行ったのか、六斎念仏講や末流がこれに供奉することでどのような特典があったのかを分析してみたい。
著者
菅根 幸裕
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.七五-一一四, 2013-07-25

近世における様々な俗聖のうち、鉢叩をとりあげ、常陸国新治郡宍倉村(茨城県かすみがうら市)の空也堂に伝わる史料から、その実態を分析する。空也堂の鉢叩は自らの祖を空也とし、空也を醍醐天皇第二皇子とする巻物を携え、ステータスアップを図ったものであると考える。近世、鉢叩・鉢屋・茶筅などの空也聖は西日本に顕在し、東日本ではこの宍倉空也堂の史料が唯一のものである。しかも空也堂には末流が存在し、鉢叩にいわゆる本末関係が結ばれていたことが明らかになった。
著者
菅根 幸裕 菅谷 祐輔
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 The proceedings of Chiba Keizai University (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.56, pp.1-28, 2017-07

近世における六十六部廻国聖に着目し、宝暦年間全国を行脚した安房国長狭郡平塚村(千葉県鴨川市)の高梨吉左衛門の日記から、巡拝の実態を探ろうというものである。この聖は、全国をおよそ三年間かけて廻ったが、日記には具体的な泊所・報謝の様子がわかり貴重である。今回は紙数の関係から原文の紹介に留まるが、詳細な分析については稿を改めて行いたいと考えている。
著者
菅根 幸裕
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.58, pp.139-161, 2018-06-30

平成30年3月、文部科学大臣は、中央教育審議会に公民館・図書館・博物館の所轄を教育委員会から首長部局への移転の可能性について諮問した。中央教育審議会は同年7月9日、特例としてこれを認めるとする答申を行った。一方、平成30年4月21日、政府の未来投資会議構造改革徹底推進会合「地域経済・インフラ」第4回会合で、文化庁は「アート市場活性化に向けて」という発表を行い、この中でリーディング・ミューゼアムの検討を明らかにした。これはアート市場活性化の役割を美術館や博物館にも担ってもらうというもので、このリーディング・ミューゼアムに指定された美術館や博物館には国から補助金が交付され、学芸員を増やすという優遇措置がされるという内容である。聞こえは良いが、実際にはミューゼアムが資料をオークションに売却する構造が示され、その売却のために展覧会などの活動が使われるというものである。結果として学芸員が美術市場に関与する必要が生じ、そのために学芸員は「残すべきもの」を見極める能力が必要ということになる。博物館の観光利用による地域活性化が提唱されて以来、様々な変動が起きている。前述の博物館の管轄が首長部局移転すれば、博物館は観光施設として営利活動を行うことを余儀なくされるであろう。一方、リーディング・ミューゼアムは、美術館・博物館の自活促する有効な手段であると解釈することができる。よって、博物館の生き残りのためには、生涯学習施設・教育的配慮などは等閑にならざるを得ないという結論になる。簡単に言えば、これからの博物館活動の基準は「資金稼ぎ」なってしまうのである