著者
渡邊 康子 薗田 徹太郎 菊地 香織 一ノ瀬 充行
出版者
財団法人さんりく基金
雑誌
三陸総合研究
巻号頁・発行日
no.24, pp.1-11, 2004-01-30

琥珀入り御香が生体にどのような生理的効果を及ぼすかを、脳波をその指標として検討した。被験者には、一定の安静状態の後に琥珀入り御香の香りを嗅いでもらい、その際に認められる脳波の変化を記録・解析した。その結果、頭頂・後頭領域において脳波が覚醒を示す高周波帯域へシフトしていることから、御香の香り刺激により覚醒状態へ移行したと考えられる。さらに、御香を燻らせている間よりも煙が止んだ後からα波レベルが上昇していた。したがって、御香の香りが薄らいでからの神経活動レベルの安定状態(リラックス)は、御香の成分を吸引することによる事後効果(after effect)と考えられた。以上のことから、琥珀入り御香には、香中のリフレッシュ効果ならびにその後のリラックス効果があることが示唆された。琥珀の持つこのような生体への効能を、新たな製品開発に活かしていくことは、三陸地域の振興に大きく貢献すると考えられる。
著者
菊地 香 中村 哲也 魏 台錫 仲間 勇栄
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.93-99, 2003-12-01

本稿では,本来ならば経営を引退して地域に埋没してしまう高齢者自らがその知識と経験を活用することで農産加工の起業することが地域にとってどのような効果をもつのかについて沖縄県具志川市の事例をもとに明らかにする。その方法として最初に農村における農産加工での起業化が一般にどのような位置付けがなされるのか,その枠組みを設定する。次いで起業的な経営を行っている生産者グループを対象にして,どのような経緯で起業化を行ったのかを明らかにする。分析の結果は,次の3点にまとめられる。第1に大手メーカーに原料を供給するだけの組織は,ドメインを構築するまでもなく原料を生産するだけの組織であり,起業的な取り組みは全くなされていない。第2に原料の生産はせず製造から販売を行う組織は,安定した原料確保ができず,またそれにより製品の生産量が常に一定とならないことからドメインの構築に至っていない。第3に原料の生産から販売まで行う組織では毎年一定の原料確保ができることから,製品の生産量も安定し,販売戦略もとることができることから,ドメインの構築を行うことにより起業段階から集合化段階に移行しつつある形態が沖縄県でもみられることである。特にこうした起業的な取り組みの担い手が事例のような高齢者を中心とした組織でも可能であり,新たにそこに若い担い手が参加させようとする形態をとっていることである。このことは若い担い手の流出が避けられない農村部において,若者を呼び戻す契機につながることから,こうした起業化は地域の活性化につながる利点があげられる。