著者
仲間 勇栄
出版者
琉球大学農学部
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
no.50, pp.85-92, 2003-12

本論文では、沖縄の伝統的食文化の一つである木灰ソバの意義について、その歴史と製造の面から考察した。現在、木灰ソバは中国甘粛省蘭州、タイのチェンマイ、沖縄の三箇所で確認されている。琉球への伝来は、14世紀末の中国からの「久米三十六姓」の渡来以降説と、中国からの冊封使による来琉(1372)以降の説が有力と考えられる。この木灰ソバが一般庶民のポピュラーな食べ物となるのは、明治以降のことではないかとみられる。灰汁に使われる樹種は、戦前ではアカギ、イヌマキ、ガジュマル、モクマオウ、ゲッキツ、現在では、主にガジュマル、イジュ、イタジイ、モクマオウなどである。木灰ソバは天然の樹木の灰から灰汁を採り、それを小麦粉に練り込んでつくる。普通の沖縄ソバでは人工のかん水が使われる。天然の灰汁には、カリウムやナトリウムなどのミネラル成分の他に、微量成分が数多く含まれている。これらの無機成分は、人間の健康維持にとっても不可欠のものである。この天然の灰汁でソバを作るとき、ph値12-13、ボーメ度2-3程度が良好とされる。この天然の灰汁で作る木灰ソバは、味覚の多様性を養う健康食品として、後世に伝えていくべき価値ある麺食文化の一つである。
著者
イチャワンディ イン 篠原 武夫 ダルスマ ドゥドゥン 仲間 勇栄
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.1-12, 2005-07-01
被引用文献数
2

This paper describes the characteristics of private forest management applied by farmers in dry land of the rural Java. The agroforestry system was used to manage their forest to manifest many objectives and constraints. The farmers practiced many types of agroforestry system, which depend on their own habit and needs. By a long experience, farmers cultivated their own small land with a high value of plant species combination. Farmers were able to manage their private forest on sustainable manner by applying selective cutting system. Even though, private forest has not contributed a big portion to the total household income, but it was important as saving asset, especially when cash money urged during emergency situation. Financial analysis proved that agroforestry-based private forest in Java is prospective for an investment in farming business. PF system is a promising system to be promoted for forest resources improvement in Java. It could be accelerated by intro-ducing appropriate policy and programs with farmers' characteristics on managing PF in rural area of Java.
著者
仲間 勇栄
出版者
琉球大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

マングローブの方言名プシキはマングローブの方言の総称である。オヒルギは方言でビギプシ(古見)、マツァプシキ(祖納)、マダプシキ(星立)、ヤエヤマヒルギはミープシ(古見)、マヤプシキ(星立)、ビープシキ(星立)、ハマザクロはトゥ〓ダプシ(古見)、ヒルギモドキはカニャーキー(星立)などと呼ばれている。マングローブの利用一番多くは、オヒルギやヤエヤマヒルギの皮を煮詰めて帆船の木綿帆、魚網、ミンサー織物などの染料として利用していたことである。皮を剥いだマングローブは薪に、またメープシやビギプシを切ってきて自家用木炭を作った。ビギプシは家のタルキや桁や洗濯物の竿掛用などに使われる。マングローブ林と食生活ガサミ(カニの一種)はゆでて身を取り、油で炒めたり、そのまま水炊きにする。また身を取ってメリケン粉と混ぜ、ダンゴ状にして油にあげカマボコを作る。ギジャグ(シレナシジミ)は身をオオタニワタリの新芽と混ぜ、油で炒める。アンサンガヤー(カニ)はおつゆに、サクラエビはゆがいて乾燥させ、野菜と炒めて食べる。そのほかに魚やウナギなどを取って料理して食べた。マングローブ林の管理利用伐採方法は小規模の皆伐や適度の抜き切りが基本だったようである。必要な利用可能なものだけを切って使う。老木や枯れ木を優先的に切り、適当に母樹を残して間引きをする。これといった利用上の取り決めがあったわけではなく、各人が長年の伝統的な生活の知恵にもとづいて、資源の再生する範囲内でうまく管理し利用していた。
著者
仲間 勇栄
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.127-139, 1998-12-01

Precious animals such as Sapheopipo noguchii or Rallus okinawa inhabit the northern part of mainland of Okinawa. At the place, forestry production is done, and therefore relation with forestry and conservation of nature becomes a big problem currently from the past. In October, 1993,I wrote a paper with a title "Forest development and nature conservation problem in northern part of mainland of Okinawa" in a text for University of the Ryukyus' television broadcast open lecture. In this paper I picked it up from a point of view of the history about the forest felling and its relation with wildlife, and I referred more about the symbiosis of forestry and conservation of nature. Mr. Ito, an ecologist, wrote critiques in a book titled "Forest of Okinawa Yambaru" (October, 1995) about my paper. In the content of Mr. Ito's critique, it was found that there are extremely partial things which ignored my major point at issue, and also there are erroneous determination of facts about the history of forestry of Okinawa Yambaru and the dogmatism therein. I argue against Mr. Ito's thought from the point of view of the quantity of forest felling, felling area, felling place of Okinawa Yambaru, the meaning of mosaic vegetation environment, and the landscape ecology and zoning of Yambaru.
著者
菊地 香 中村 哲也 魏 台錫 仲間 勇栄
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.93-99, 2003-12-01

本稿では,本来ならば経営を引退して地域に埋没してしまう高齢者自らがその知識と経験を活用することで農産加工の起業することが地域にとってどのような効果をもつのかについて沖縄県具志川市の事例をもとに明らかにする。その方法として最初に農村における農産加工での起業化が一般にどのような位置付けがなされるのか,その枠組みを設定する。次いで起業的な経営を行っている生産者グループを対象にして,どのような経緯で起業化を行ったのかを明らかにする。分析の結果は,次の3点にまとめられる。第1に大手メーカーに原料を供給するだけの組織は,ドメインを構築するまでもなく原料を生産するだけの組織であり,起業的な取り組みは全くなされていない。第2に原料の生産はせず製造から販売を行う組織は,安定した原料確保ができず,またそれにより製品の生産量が常に一定とならないことからドメインの構築に至っていない。第3に原料の生産から販売まで行う組織では毎年一定の原料確保ができることから,製品の生産量も安定し,販売戦略もとることができることから,ドメインの構築を行うことにより起業段階から集合化段階に移行しつつある形態が沖縄県でもみられることである。特にこうした起業的な取り組みの担い手が事例のような高齢者を中心とした組織でも可能であり,新たにそこに若い担い手が参加させようとする形態をとっていることである。このことは若い担い手の流出が避けられない農村部において,若者を呼び戻す契機につながることから,こうした起業化は地域の活性化につながる利点があげられる。