著者
菊池 いづみ
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.179-191, 2018-06-11

<p> 本稿の目的は,近年の地域包括ケアの推進を高齢者保健福祉事業の再編過程に位置づけ,その責任主体であると同時に介護保険の保険者である基礎自治体の役割強化に着目し,家族介護に対する支援事業の現状と課題を明らかにすることである。その際,急速な高齢化の深刻な大都市圏に焦点をあてた。分析には東京都区市町村を対象としたアンケート調査の結果を用い,支援事業の区市町村別の実施状況を明らかにした。そのうえで①家族介護支援策の優先度,②地域包括支援センターの設置主体,③自助・互助・共助・公助の期待度との関連要因を分析し,地域包括ケア推進の観点から家族介護に対する支援事業の課題を検証した。東京都のように相対的に財政基盤に恵まれた大都市圏では,自助への期待度は高い。家族介護者の自立にも配慮し,直接支援対象とする事業導入の検討が求められる。先進諸国にならい,家族介護者を地域包括ケアシステムに統合する視点が重要である。</p>
著者
平岡 公一 山井 理恵 斉藤 弥生 大坂 純 志水 田鶴子 菊池 いづみ 秋元 美世 新保 幸男 岡部 耕典
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、日本における多元的福祉ガバナンスのもとでの福祉サービスの質の確保策の現状と課題、および将来展望について、国際比較的な視点をふまえ総合的に検討した。地方自治体における実施状況、あるいは民間組織の先進的な取り組みの事例の分析に基づいて検討した結果、サービス実施アプローチに適合的な適切な質の確保策を選択すること、さまざまな質の確保策の間の機能分担関係を明確化することなどの課題が明らかになった。