著者
菊池 泰弘
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.61-66, 2020 (Released:2021-10-28)
参考文献数
40

霊長類は哺乳類の中でも多種多様の移動運動様式を持つことから,近縁種間でさえも筋骨格形態が異なるものがあり,機能形態学的な解釈をするうえで欠かせない研究対象と考えられる.骨格は移動の際に運動を支え,軸となる一方,筋は骨格 同士を結びつけ,骨間距離を変化させることで体肢や体幹における様々な動きの原動力となっている.移動運動様式が異なれば,その動きにそれぞれ適応した骨形態を有することが想定され,それに伴い筋形態も連動して違う様相を呈していると想像するに難くない.本稿では樹上性霊長類の筋骨格形態に焦点を当て,移動運動様式に関連した形態の違いを紹介する.