著者
藤野 健太 和田 博史 山内 亮 根本 研 関口 脩 伊藤 雅充
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.187-201, 2017 (Released:2017-06-22)
参考文献数
25
被引用文献数
1

Strength and Conditioning (S&C) coaches are responsible for improving athletes' performance, which is achieved through various types of training. For athletes who are learning to improve their performance, it is important for the coach to guide their development by asking meaningful questions. The purpose of this study was to investigate the process by which questioning skills can be improved using Action Research (AR) methodology. In this study, 4 cycles of AR were conducted to improve the author's questioning skills, which were both lower-(complex) and higher-order (simple) questions, with avoidance of leading questions. The author of this paper was working as a S&C coach with a collegiate men's volleyball team. Fifteen players voluntarily participated in this study. As part of the AR methodology, the author selected an academic supervisor and a critical friend to observe and provide feedback based on coaching practices. An action plan was formulated through discussions based on the videotaped practices. A systematic observation approach was selected to elucidate behavioral differences in coaches over a 6-week period. A modified version of the Arizona State University Observation Instrument was also used.  Interviews were conducted to reveal athletes' feelings about the coach's use of questioning. Strength and vertical jump performance were assessed before and after the AR intervention. As a result of the AR, the author's questioning skills were improved. There were 3 processes through which questioning skills were improved: 1) increased familiarity with higher-order questioning, which made the athletes think rather than being told, 2) increased time for planning explicit higher and lower-order questions, and 3) challenging the thinking of athletes through the use of questioning to create a better interaction between coach and athletes. This study challenged the author's use and understanding of S&C coach questioning skills for the first time. From this research, the AR procedure was considered to be a very useful tool for improving the coaching skills of S&C coaches. Further research to seek ways of improving the pedagogical skills of S&C coaches will be necessary.
著者
高橋 裕 松村 秋芳 新屋敷 文春 藤野 健 原田 正史 大舘 智志
出版者
防衛医科大学校
雑誌
防衛医科大学校進学課程研究紀要
巻号頁・発行日
vol.32, pp.109-116, 2009-03

アズマモグラ (Mogera wogura,imaizumi) は足の母指側に指様の [内側足根突起 ; Medial tarsal process] を持つ。突起に収まる [内側足根骨 ; Medial tarsal bone] の顕微解剖所見も既に報告している。今回は、内側足根突起が、他の国産食虫目動物でも認められるのか調べた。
著者
松村 秋芳 藤野 健
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第23回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.120, 2007 (Released:2009-05-30)

二足行動をする哺乳類に関する情報は、直立二足歩行の進化を理解するためのヒントを与えてくれる。このような観点から、レッサーパンダ(Ailurus fulgens)の日常行動を観察した。成獣雌雄各1個体(千葉市動物公園)について、日常行動を観察するとともに自発的に行なう二足起立行動(6試行)、二足起立食餌行動(4試行)、木登り行動 (2試行)、懸垂行動(2試行)のビデオ画像の分析を行った。 レッサーパンダが二足で立ち上がる過程では、上体を起こしながら股関節と膝関節を伸展させる。十分な二足立位姿勢をとったときの股関節角度は146°、膝関節角度は148°と比較的大きかった。懸垂行動時には、両下肢は下垂しつつバランスをとる。二足行動および懸垂行動をとる頻度は、いずれも雄個体が高かった。観察の結果から、自発的な二足起立行動は、懸垂行動時における下肢の筋神経のコントロールと密接に関連している可能性が示唆された。さらに、この動物が自発的に二足歩行しないのは、類人猿に見られるような左右の腕を交替させて前進するブラキエーションを行なえないことと関連しているものと推測された。レッサーパンダは、枝を片手で把握できる手の構造を遺伝的に持たないため、類人猿型のブラキエーションは発達し得ず、鉤爪に依存した木登りや懸垂行動を発達させた。ヒトの祖先の類人猿では、ブラキエーションに伴って、下肢を左右交替で運ぶ神経コントロールへの適応が行なわれ、地上に降りた後のストライド歩行の発達に関与したと考えられる。二足起立行動を行なう動機として、頭部の感覚器の位置を高くすることで視覚、嗅覚、聴覚による外部環境情報を得やすくすること、他者へのアピール、オペラント条件づけの関与等が考えられる。その背景には、樹上行動によって獲得された二足起立にかかわる神経、筋機能の存在が想定される。生育環境によって、動機に関与する外部環境情報や身体機能のうちの何らかの条件が欠けると、二足起立行動が誘発されにくくなるであろう。これが二足起立行動の頻度に個体差を生じさせる要因となる可能性がある。
著者
藤野 健
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第25回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.78, 2009 (Released:2010-06-17)

<はじめに>新世界ザルのクモザルは樹上での枝渡りの際に前肢のみならず尾や後肢も動員してのアクロバティックな移動運動性(ロコモーション)を示す。一方オランの子供や雌個体でも律動性の欠如した,崩れたようなブラキエーションやぶら下がり動作が観察され,2者の運動性は一見類似する。 そこで動物園での観察並びにweb上で得られた動画を元にこれら動物の運動性の差について体幹の角運動性の違いを元に解析した。<結果>クモザルではテナガザルに見られる様な胸郭を左右に往復回転させるブラキエーションを時に示すものの,胸郭を無回転で前方に向けたまま,前肢を交互に進めて腕渡りをする運動が寧ろ頻繁に観察される。 この際,枝などの適当な媒体があれば尾を使用して媒体確保を行う。体幹の角運動性からは体幹を貫く背腹軸,左右軸,長軸の3軸回りの回転性がおおかた等しく行われる動物と理解可能である。これに対しオランでは,クモザル様の多軸性の回転性は有するものの,前肢での腕渡り時にはテナガザルに観察されるような体幹長軸回りの反復回転性が明確に観察される。<考察>祖先型霊長類が体幹を直立させて体幹長軸回りの回転運動性を新たに獲得した時,即ちブラキエーションと二足歩行を同時に開始した時が,我々ヒトの直立二足歩行に至る系列の誕生した瞬間である(藤野,ヒト二足歩行の起源仮説)。 この仮説に立つと,クモザルはおそらくは霊長類の原始的祖先が獲得していた多軸性の運動性を,尻尾の利用を伴い高度に独自の方向へと進化させた霊長類であり,一方オランは一度体幹長軸回りの運動性を得た祖先が,再び樹上性を強めて体幹運動性の多軸化を二次的に遂げた霊長類であると考えられる。 クモザルの地上二足歩行は腰の回転を殆ど伴わず短く単発的であるが,これはこの動物のロコモーションが体幹長軸周りの回転性を優勢のものとしていないことで説明が可能である。
著者
藤野 健
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.32, pp.66, 2016

<p>【はじめに】ゴリラは幅のある樹幹上や地上では専らナックルウォーキングで水平移動するが、他方腕渡りが観察される機会は大変少ない。3歳7ヶ月齢のコドモ個体の腕渡りを動画撮影する機会を得たのでその特徴を報告する。【材料と方法】京都市動物園にて飼育されるニシゴリラ(G)コドモ雄(撮影は2015年7月)を、過去に撮影したキンシコウ(R)のコドモ雄、アカアシドゥクラングール(P)雌雄成体、シロテテナガザル(H)雌成体のビデオ画像と比較した。【結果】Gはケージ内に渡された全長約7mのロープを休み休みに緩慢に腕渡り移動した。両手でぶら下がり、後肢、特に下腿をぴょんと屈して幾らか重心を後方に移動させ、その反動で片手でぶら下がりを開始する際の推進力の足しにすると思われる独特な像を示す。これはブランコの漕ぎ始めの動作を連想させるが、前方推進力産生に寄与する効果は少ない様に見え、当個体が学習した動作の可能性もある。左右交互の前肢突き出しに伴い、顔面は前方を向くが、Hの様に頸部を迅速に回転させ常時顔を前方に向ける程では無い。体長軸回りの胸郭の回転発生に伴い。腰も位相差なく、つまり「胴体」が一体となり、左右に反復回転する。尚G成体に腕渡りは観察されなかった。【考察】Gの腕渡り動作には、Hの様な頭部、胸郭、腰間の逆回転性の発生は弱いか或いは観察されない。これに加え俊敏性と巧緻性に劣る点からもセミブラキエーターの腕渡りに類似する。但し手指で体重を支える能力は手足を用いて頻繁にぶら下がり遊びする点からも明らかにGが優れる。Gの胸郭形態と肩甲骨の背側配置は、祖先が腕渡りに相当程度進んでいた事を物語るが、観察された運動特性からもGがヒトと同様に、前方推進機能を低下させた腕渡り動物、即ち過去に獲得したブラキエーターとしての能力を失いつつある動物と理解可能である。</p>
著者
藤野 健
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第32回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.66, 2016-06-20 (Released:2016-09-21)

【はじめに】ゴリラは幅のある樹幹上や地上では専らナックルウォーキングで水平移動するが、他方腕渡りが観察される機会は大変少ない。3歳7ヶ月齢のコドモ個体の腕渡りを動画撮影する機会を得たのでその特徴を報告する。【材料と方法】京都市動物園にて飼育されるニシゴリラ(G)コドモ雄(撮影は2015年7月)を、過去に撮影したキンシコウ(R)のコドモ雄、アカアシドゥクラングール(P)雌雄成体、シロテテナガザル(H)雌成体のビデオ画像と比較した。【結果】Gはケージ内に渡された全長約7mのロープを休み休みに緩慢に腕渡り移動した。両手でぶら下がり、後肢、特に下腿をぴょんと屈して幾らか重心を後方に移動させ、その反動で片手でぶら下がりを開始する際の推進力の足しにすると思われる独特な像を示す。これはブランコの漕ぎ始めの動作を連想させるが、前方推進力産生に寄与する効果は少ない様に見え、当個体が学習した動作の可能性もある。左右交互の前肢突き出しに伴い、顔面は前方を向くが、Hの様に頸部を迅速に回転させ常時顔を前方に向ける程では無い。体長軸回りの胸郭の回転発生に伴い。腰も位相差なく、つまり「胴体」が一体となり、左右に反復回転する。尚G成体に腕渡りは観察されなかった。【考察】Gの腕渡り動作には、Hの様な頭部、胸郭、腰間の逆回転性の発生は弱いか或いは観察されない。これに加え俊敏性と巧緻性に劣る点からもセミブラキエーターの腕渡りに類似する。但し手指で体重を支える能力は手足を用いて頻繁にぶら下がり遊びする点からも明らかにGが優れる。Gの胸郭形態と肩甲骨の背側配置は、祖先が腕渡りに相当程度進んでいた事を物語るが、観察された運動特性からもGがヒトと同様に、前方推進機能を低下させた腕渡り動物、即ち過去に獲得したブラキエーターとしての能力を失いつつある動物と理解可能である。
著者
藤野 健
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.31, pp.88, 2015

【はじめに】四足姿勢のサルは掌を接地させるが、何故にまた如何にして、指背を接地させるに至ったのか、ナックルウォーキング(= KW)成立に関する論考が等閑視されて来た。今回、類人猿以外にKWを示すとされるアリクイ(anteater = AE)を採り上げ、形態と行動的特徴を基にその実態を検討する。【材料と方法】静岡市立日本平動物園にて飼育されるオオアリクイ(Giant anteater, <i>Myrmecophaga tridactyla</i>)(= GA)雌成体1頭の動画記録を解析し、固定標本雌成体1頭の手の外観を観察した。併せてミナミコアリクイ(Northern tamandua)(= NT)冷凍解凍標本雌1頭並びにwebから得られたGAの交連骨格像も比較の為に供した。【結果】GAの第2,3指及びその爪は弯曲して強大だが、第1,4指のものはずっと小さく第5指は退化的である。歩行時には手を尺側に傾け、第2,3指を、大きく発達したボール様の掌球の橈側に沿う様に配置する。厚い掌球をあたかも地面に判を押すかの様に歩くが、これら2指の指背並びに爪は歩行時に幾らか接地する。NTの手の構造もGAに類似していた。【考察】GAは通常四足歩行するが、蟻塚を前にして後肢で立ち上がりこれを爪で破壊しながらシロアリを採食する。即ち巨大な、弯曲した爪と手指はそれに適応的である。歩行時の体重は掌球を介して主に中手骨及び手根で支え、指と爪は破壊道具へと明瞭に機能分化させている。斯くして指骨が主たる体重支持者でない故に類人猿のKWとは性質を異にする。GAの交連骨格像はKWの手を持つとしばしば示説展示されるが正確ではない。AEの手は-NTは手の爪を利用しての木登りも得意とするが-過去に四足歩行性から離れるまでの特殊化は経ておらず、四足歩行と採食活動を共に可能とする漸進的且つ折衷的な進化形態像を示すものと考えた。
著者
藤野 健太 和田 博史 山内 亮 根本 研 関口 脩 伊藤 雅充
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.16064, (Released:2017-05-19)
参考文献数
25
被引用文献数
1

Strength and Conditioning (S&C) coaches are responsible for improving athletes' performance, which is achieved through various types of training. For athletes who are learning to improve their performance, it is important for the coach to guide their development by asking meaningful questions. The purpose of this study was to investigate the process by which questioning skills can be improved using Action Research (AR) methodology. In this study, 4 cycles of AR were conducted to improve the author's questioning skills, which were both lower-(complex) and higher-order (simple) questions, with avoidance of leading questions. The author of this paper was working as a S&C coach with a collegiate men's volleyball team. Fifteen players voluntarily participated in this study. As part of the AR methodology, the author selected an academic supervisor and a critical friend to observe and provide feedback based on coaching practices. An action plan was formulated through discussions based on the videotaped practices. A systematic observation approach was selected to elucidate behavioral differences in coaches over a six-week period. A modified version of the Arizona State University Observation Instrument was also used.  Interviews were conducted to reveal athletes' feelings about the coach's use of questioning. Strength and vertical jump performance were assessed before and after the AR intervention. As a result of the AR, the author's questioning skills were improved. There were three processes through which questioning skills were improved: 1) increased familiarity with higher-order questioning, which made the athletes think rather than being told, 2) increased time for planning explicit higher and lower-order questions, and 3) challenging the thinking of athletes through the use of questioning to create a better interaction between coach and athletes. This study challenged the author's use and understanding of S&C coach questioning skills for the first time. Fromthis research, the AR procedure was considered to be a very useful tool for improving the coaching skills of S&C coaches. Further research to seek ways of improving the pedagogical skills of S&C coaches will be necessary.
著者
藤野 健
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.23, pp.117, 2007

【はじめに】立位を安定的に取り得る哺乳類が知られるが、殆どは極く短時間を除き自発的な歩行はしない。ヒトの祖先が如何に二足歩行を開始したのか、どの様なlocomotor habitat 或いはpositional behavior がその前適応として必要だったのかを考察する場では、この様な「立つ」と「歩く」の違いは何か、そしてこの違いをもたらす形態・機能的要因は何かを解明する事は有意義と考えられるが、この視点での研究は進んでいない。今回、シロテテナガザル及びレッサーパンダの動作をビデオ撮影し、骨格形状と併せ、ヒトの二足歩行能獲得に関するブラキエーション仮説を再検討したので報告する。<br>【材料と方法】高知県下の或る動物園にて2種をハイビジョン撮影し、レッサーの立位及び懸垂動作についてはTV放映された映像を参考にした。また2種の全身骨格像を参考にした。<br>【結果】テナガザルは活発なブラキエーション(腕渡り)の合間、時々地面に降り立って二足歩行を行う。ロープ渡りでは、姿勢を立てて前肢を交互に進めて上のロープをたぐり、後肢で二足歩行をして下のロープを渡る。一方レッサーは滑らかな動作で木登りを頻繁に行い、自発的に立位を取るが歩かない。懸垂(静的ぶら下がり)も行い、前肢の伸展度は高いが腕渡りは観察されない。<br>【考察】2つの動物の樹上並びに平坦地での動作性状の比較から、腕渡りvs.懸垂姿勢、二足歩行vs. 静止立位なる対位的、動静の組み合わせで1つの理解が可能である。この対比概念と骨格像の比較から、ヒト型 bipedalism がそもそも「前肢の歩行」であるまさに腕渡りに同期しての「下半身」の運動様式に由来することが強く示唆され、腕渡りに伴う胸郭並びに骨盤の、他に類例のない、体長軸周囲に関する左右交互の回転運動、並びに胸郭と骨盤の横幅の拡大こそがヒト型「歩く」の前適応条件であると考えた。