著者
尾野 嘉邦 菊田 恭輔
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2023-06-30

いわゆる「資源の呪縛」論に代表されるように、これまで天然資源と国内・国際紛争の関係については膨大な研究がなされてきた。しかし、そのほとんどがマクロなレベルでの相関関係の分析にとどまっており、天然資源が国内・国際紛争にいたるミクロなレベルでの因果メカニズムはまだ明らかではない。本研究は、偶然起こった出来事を利用する自然実験のリサーチデザインのもとで、地球上の油田開発に関する詳細な地理データ、245万人以上の回答者を含むグローバルな世論調査データ、そして3,800万件以上の記事に基づいた紛争のイベントデータなどを分析し、ミクロレベルの仮説を検証していく。
著者
福元 健太郎 菊田 恭輔
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.47-57, 2021 (Released:2023-11-16)
参考文献数
31

投票所の閉鎖時刻は原則として午後8時だが,午後4時までなら繰り上げることができる。本稿は,2009年から2013年までの衆参の選挙について,全市区町村のデータを作成し,差の差分析により,繰り上げが投票率だけでなく自民党や諸派の絶対得票率とも逆相関することを示す。さらに,前回選挙期日の降水量を操作変数として利用することにより,前回選挙の棄権率が今回選挙の繰り上げを抑制する因果的効果があることを実証する。
著者
福元 健太郎 菊田 恭輔
出版者
学習院大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

災害への対処が公金に値するかを市町村が「認定」すると、不正を含む政治的バイアスが入り込む余地がある。具体的には次の3つを検討する。(1)災害復旧事業費の国庫補助率を嵩上げする激甚災害指定の有無が、その前後の選挙におけるその市町村の与党得票率と関連しているかを、選挙間の最大降水量を操作変数として用いて不偏推定する。(2)災害弔慰金の対象となる災害関連死を認定するタイミングが、市町村によってどれほど異なるかを、ノンパラメトリックな生存分析を用いて調べる。(3)住家の被害認定が被災者生活再建支援金の支給条件を満たすか否かが人為的に決められていないかを、回帰不連続デザインによって判断する。