著者
落合 美貴子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.351-364, 2003-09-30

教師バーンアウトは,ヒューマンサービス従事者のバーンアウトの中でも,とりわけ深刻な問題として研究されてきている。教師バーンアウトは,教育学,心理学,社会学等多領域に跨がるテーマであることから,学際的な視点が必要である。本論は,その点を踏まえて,まず国外の研究を概観し,次いで日本の研究動向を探った。そして,特に要因研究に焦点を当て先行研究のメタ分析を行い,今後の教師バーンアウト研究に必要とされる4つの視点を提示した。それは,(1)バーンアウト研究は,概念やその成立機序からしてストレス研究とは一線を画すべきであること,(2)社会・文化的視点,特に教育制度や教師文化の独自性に関する認識が不可欠であること,(3)時間軸の重要性から,教師のライフヒストリー研究等の縦断的研究が必要であること,(4)これまでの量的研究は,バーンアウトの内実に迫り得ていないことから,質的研究法を導入する必要があること,である。