著者
都丸 けい子 竹川 佳津子
出版者
聖徳大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

初めに、避難児童のメンタルヘルスの状態およびレジリエンスの検討に関しては、第1に、時間経過と共に地震、津波、原発の恐怖や早期は減少傾向を示した。学校生活や気持ちの安定についても同様の結果であった。一方で、生活における困難や身体の変化への戸惑いは、制度上の変遷や発達といった進行形の変化を伴うため、一時的に不安定な様相を示した。しかし、やはり時間の経過と共に、次第に安定する傾向が認められた。次に、避難児童への支援活動および支援体験の意味づけに関しては,子どもたちの不安や困難に寄り添う支援を行うことで、子どもたちのみならず教員自身にもPTGという形で、支援体験の意味づけによる成長・発達が生じていた。
著者
都丸 けい子 庄司 一子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.467-478, 2005-12-30

本研究の目的は, 中学校教師の対生徒関係についての悩みの内容を明らかにし, 悩みの程度と悩み後の教師の変容との関連を明らかにすることである。悩みによる生徒への見方・接し方の変化を教師の成長の可能性を孕むもの, つまり成長の契機と捉えた。さらに, 変化に関連する要因として, 先行研究でのストレスへの対処方略やソーシャルサポートの有効性等を踏まえ, 悩みへの対処, 悩みを抱く教師の支えとなるものについて検討した。「生徒との人間関係における悩み」尺度を作成し, 中学校教師290名を対象に調査を行った結果, 教師の生徒との人間関係における悩みは, 生徒への抵抗感, 指導上の困難感, 生徒からの非受容感, 関わり不全感の4因子から説明された。これらの経験後に教師に生じた生徒への見方・接し方の変化の程度には, 悩みの程度が関連することが示された。また, 悩みへの対処方略の「認知変容」が, 生徒への見方・接し方の変化に特に関連する要因として示された。悩むことがメンタルへルスを悪化させることも指摘される一方で, 悩みに対処し, 自分で, もしくは周囲からの支えを受けながら悩んでいく過程がその後の教師の変容と関連していることが示唆された。