著者
前田 文子 早瀬 明子 蓮沼 良一 永嶋 久美子 黒川 理加 小澤 陽子 大坂 佳保里 陳 美慧 福永 淑子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成20年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.10, 2008 (Released:2008-08-29)

【目的】 今回提案の調理方法はオーブンを使い、60~90℃の範囲に保ち、温度管理を行ってセミドライ食品を製造する方法である。一般にはセミドライとは、常温で乾燥する方法を言うが、今回の提案した方法では、温度70~100℃の中温で乾燥する方法なので、中温乾燥セミドライ乾燥方法と名づけた。今回の発表ではこの方法により、各種の肉・果物・野菜についてその好適な温度設定などについて明らかにするために行ったことについて報告する。 【方法】 食材には肉類として鶏肉、豚肉、牛肉を、野菜としてトマト、キュウリ、ダイコンを、キノコ類としてエノキ茸、しめじ、エリンギを、果物としてりんご、パイナップル、キュウイを選び実験に供した。実験装置としては日立オーブンMRO-BV100型を改造して温度設定が可能ものを使用した。今回は70~100℃に設定し、90~120分間処理した。 【結果および考察】 全般的に生鮮食材の40~50%の水分量にすると、食材の味は損なわれずに旨味を引きだせることがわかった。肉類の好適な温度は水分の多い果物と比べてやや低い温度の方が良質のものが仕上がることが分かった。ささみ鶏肉の場合は添加物を一切使わなくとも冷蔵保存の場合より、数十倍長く保存できることがわかった。一部の素材では食塩で下処理することにより食味の向上、変色防止に効果があることがわかった。 【まとめ】 食材の味をそのまま生かし、旨味を引き出すことができること、温度設定だけで簡単に美味しい加工食品が出来、食塩を添加しなくても日持ちがよいセミドライ加工が製造できることがわかった。
著者
福永 淑子 船山 敦子 高崎 寿江 永嶋 久美子 臼井 照幸 蓮沼 良一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成20年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.11, 2008 (Released:2008-08-29)

【目的】 冷蔵庫を用いて強性通風した庫内において肉、魚および野菜を低温で乾燥させることより新鮮さを保ちつつ保存性が高まった美味しいセミドライ食品製造する方法を開発した。セミドライ食品は一般には野外の通風のよい所にさせるものであるが、本開発技術では冷蔵庫内の低温乾燥した空気より食材を乾燥させてセミドライ食品を製造する方法であり、この方法を冷風乾燥法と名づけた。 【実験】 材料としては、肉類、魚類、野菜類、キノコ類および果物類を選び、その効果を検討した。今回は市販(日立R-SF60XM型)に強制通風させて8~12℃に設定した、約25cm×15cm×12cmのプラスチック性箱を製作し、この中に網棚を設けた。上記の食材をこの網棚に並べ約一日から二日間乾燥させた。 【結果および考察】 この操作により、個々の食材によって風味や色および味が異なるが、従来の常温乾燥セミドライものと比べて全体的に以下のような優れた特徴を持つ食品を製造できることが明らかになった。_丸1_常温乾燥のものと比べて、全体的にも元の生の色に近く、肉類については特に透明感と光沢感が強いこと、_丸2_特に肉類では生臭みはなくなり、野菜類ではその特有の風味が強まること、_丸3_一部の食材では熟成作用もあることが感じられ、果物と野菜では濃縮した美味しい味とともに、テクスチャーが変わり、新たな食感の食品となること、_丸4_キノコ類では水で戻すと速やかに旨味成分が溶出し、しかも濃いだしがとれること、エノキ茸ではそのまま食すると非常に美味しい新たな食品となることが、わかった。以上のように低温乾燥セミドライ法により新しい特徴を持った加工食品・食材が製造できることがわかった。
著者
大坂 佳保里 蓮沼 良一 チェン メイ フェイ 青木 正敏 福永 淑子 高橋 良佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.44, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】米粉は様々な調理分野において利用されているが、乾式製粉法では米粉を微粒子化するための設備が高額で、米粉の値段も高い。しかしタイ、台湾の水挽き製粉法を利用すると、安価な微粒子米粉を製造することができる。著者らは水挽きに先だって浸漬する水温(5℃、10℃、15℃、25℃)により、製造できる米粉の微粒子径を制御できることを明らかにしている(2011年発表)。本研究では、日本米の浸水温度を同様に4段階に設定し、その粒度分布を詳細に調べるとともに、これを日本で販売されている微粒径乾式製粉米粉、タイおよび台湾の米粉の粒度分布と比べることを目的とした。さらに米粉の製品に関わる米粉の損傷度合などについての特性を明らかにすることも目的とした。【方法】まず、日本米を上記4種類の水温の水に12時間に浸漬した後、水挽き法により製粉し、水分を赤外線水分計によって12%前後に調整した。次いで、4種類の浸水温度の米を水挽きした日本米粉と一般に市販されている日本の乾式微細米粉、タイ米粉と台湾の米粉との粒度分布をレーザー回折式粒度分布機と測色色差計で測定した。さらに、米粉のデンプン粒の損傷状態を調べた。【結果】5℃の米粉の粒度分布ではもっとも細かい粒径が得られ、メジアン径は18μmであった。米粉のメジアン径は水温が高いほど粗くなり、25℃の場合は64μmであった。タイの米粉は37μm、台湾米粉は18μmであった。色相については浸漬水温の差は認められなかった。デンプン粒の損傷状態によって生地の様子は異なり、低温の浸漬水温の米粉ほどコシの強い米麺ができることが明かになった。
著者
福永 淑子 蓮沼 良一 大坂佳 保里 永嶋 久美子
出版者
川村学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

1.日本米(うるち米)の米粉を選別して180メッシュ以上の粒径の小さいものだけで米麺をつくると、でんぷんを一切加えなくとも、こしがあり、かつ嗜好性の高い純米麺を作れた。すなわち、純米麺は、米粉を180メッシュ以上の細かい粒径にするだけで日本米からでも製造できることが明らかになった。2.インディカ米であるタイ米や台湾米ではアミロペクチンの含有割合が少ないので純米麺が製造でき、一方アミロペクチンの含有割合が多い日本うるち米では純米麺が出来ないという通説がある。しかし、180メッシュ以上の粒径の小さい米粉にアミロペクチンをかなり添加しても純米麺が製造できることが分かった。3.以上の実験結果から、従前の通説は間違いで、純米麺が製造できる条件としては、アミロペクチン含有量が少ないということではなく、米粉の粒径が180メッシュ以上に細かいという条件が必要であることが明らかになった。4.また、アミロペクチンが少ないとこしが強くおいしい麺が製造できると言う説もあるが、アミロペクチン含有量は純麺のこしの強さや食味にはとくに関係はなく、米粉の粒径がこしの強さや食感に関係が深いことも明らかになった。5.180メッシュ以上の細かい粒径の米粉は、浸水しておいた日本うるち米を水挽きすることによって効果的に得ることができることが分かった。