著者
藤井 匡 栃尾 巧
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.66-71, 2021-05-20 (Released:2022-03-09)
参考文献数
26

フラクトオリゴ糖(FOS)は,スクロースにβ-2,1-結合フルクトースユニットが転移したポリマーで,プレバイオティクスとして広く使用されている.特に三糖のFOSであるケストースは,酪酸産生菌などの腸内有用菌を選択的に増殖させるなど,プレバイオティクス機能が特に高いことが報告されている.我々は,ケストースを効率的に生産するために,四糖のFOSであるニストースの副生が抑制されケストースを特異的に生成する酵素の取得を試みた.大腸菌表層提示法を用いてスクリーニングした結果,Beijerinckia indica 由来酵素の変異体BiBftA H395R/F473Yがケストースを特異的に蓄積した.特にH395Rが重要な変異であり,ケストース以上の長鎖が生成することを抑制し,かつスクロースが糖転移せずに分解することをも抑制していると考えられた.反応のタイムコースを確認した結果,BiBftA H395R/H473Yによってスクロースの44%程度がケストースに変換され,このときニストースの副生は1%程度に抑制されていた.この改良酵素は,ケストース結晶の飛躍的生産コスト削減と生産効率向上に寄与すると考えられた.
著者
伊東 敏光 藤井 匡 靍田 茜
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、世界的にも作例の乏しい風景をモチーフとした彫刻を制作にするために何が必要であるかという観点から、「風景彫刻」を成立させるための造形理論と実験制作よる研究を並行しておこなった。理論研究では、日本国内の庭園、工芸等に見られる風景表現を実地調査し、また古代から現代までの絵画表現の変遷や様々な透視図法や遠近法等の調査を通じて、それらの表現方法の彫刻への応用等に付いての考察を重ねた。実験制作では「広島」や「対馬」といった特定の地域を限定した上での、「風景彫刻」の実験制作をおこなった。本研究の成果として特徴的なことは、実験制作によって彫刻による多様な風景表現の可能性を示すことが出来た点にある。