著者
野村 幸子 河上 智香 長谷 典子 藤原 千恵子
出版者
県立広島大学
雑誌
人間と科学 : 県立広島大学保健福祉学部誌 (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.169-180, 2007-03
被引用文献数
2

本研究の目的は,入学したばかりで小児看護学受講前の学生は,子どもとの接触体験をどの程度持っているのか,またどのような子どもイメージを持っているのか,子どもとの接触体験は,イメージの形成にどのように影響するのかを明らかにすることであった。対象者は,研究の目的に同意が得られた2大学の1年生143名である。結果は,接触体験で最も多い項目は,「赤ちゃんを抱く」や「子どもとの遊び相手」で世話に関する体験は少なかった。接触体験やきょうだい数が多いほど,子どもの『行動特性』からくるイメージは肯定的となっていた。他のイメージの側面には影響がみられなかった。また接触体験の多さは,子どもへの関心とも関連がなかった。むしろ接触体験が多いと苦手意識になることも示唆された。学生は,子どもへの関心は高いが,そのイメージは,子どもとの浅い関わりや外観から得られるイメージであることがわかった。
著者
日隈 ふみ子 藤原 千恵子 石井 京子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.56-63, 1999-01-20 (Released:2010-11-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

初めて親となった父親の発達について, 母親の発達との比較と父親発達への影響要因を明らかにすることを目的に研究を行った. 調査は子どもが1歳半になった時期に父親と母親に対して別々に実施し, 分析対象は両親の回答がそろった178組 (有効回答率45.8%) とした. その結果, 以下のことが明らかとなった. 父親の育児家事行動の中で, 子どもに話しかける・だっこする・遊び相手になるや, 母親への精神的援助など比較的行動しやすい行動得点は高いが, 子どもへの具体的な世話や家事行動の得点は低かった. 親としての発達に関する因子得点は両親とも高く,「生き甲斐・存在感」因子はどちらも第1位であったが, 2位以下には父母間に違いがあった, 父親と母親の因子得点の比較では, 母親のほうが父親よりすべての因子で高かった. 父親の発達には父親の役割観と育児家事行動の行動得点の高低が影響しており, 母親の父親に対する育児家事行動の期待度は影響していなかった.