著者
藤原 正幸 久保 敏 山本 正昭
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.185-194, 1997-12-12
参考文献数
14

波浪エネルギーを利用して海水交換を行うために砂浜に造成されたヒラメ稚魚の中間育成池において、流動と水質の変動特性を明らかにする目的で現地観測を行った。測定項目は、流速、水温、塩分、溶存酸素(DO)で、さらに流動パターンを把握するため染料拡散実験を実施した。海水流入量は海水位と波高によって変動し、海水取入口から流入した海水は池内において循環流を形成して流出口に向かう。それゆえに水温とDOが最大値を示す時刻は場所によって異なることになる。DOに関しては海水取入口が閉じている状態では朝の6時に最低値の飽和度60%まで減少する。またDO収支から推定すると、池内におけるすべての消費過程を考慮したDO消費速度は0.162mg/l/hrとなった。そのうちの60%は水中懸濁物、20%はヒラメの呼吸によるもので、残りは底質による消費であった。塩分収支から推定した海岸地下水流入量は海水流入量と比較すると無視できる程度であった。