著者
藤川 吉美
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.23-39, 2006-03-31

日本語の「責任」と「義務」の概念は,意味が曖昧であり,かつその根拠が漠然としている。そこで本稿では,上記タイトルの下に「責任」(obligation)と「義務」(duty)の概念を明確に区別するとともに,あわせて「公正な社会」(fair society)の安定的な維持にとって不可欠な西欧古来のnoblesse obligeの新しい解釈とその意義について論じたいと思う。論文の構成は全6節からなっており,1.最初に本稿の趣旨について述べ,2.において「公正原理」と「責任概念」を定義し,両者が不可分の関係にあることを指摘した。3.においては,伝統的なnoblesse obligeの定義を与え,J.ロールスによって試みられたその新しい解釈を紹介するとともに,それが公正な社会的協力・分業において奏するところの効果について哲学的な検討を加えた。4.以降は,自然的な6つの「義務の原理」とそれに由来する6大義務(正義の義務,相互尊重の義務,相互扶助の義務,礼譲の義務,フェアプレイの義務,そして,他者に対し損害や危害や不条理な苦痛を与えない義務,または遵法の義務)およびその意義について論述し,5.以降で順次,次のような6大義務の詳細な説明を与えている。5.正義の義務6.相互尊重の義務7.相互扶助の義務8.礼譲の義務9.フェアプレイの義務10.他に損害・危害・不条理な苦痛を与えない義務(遵法の義務)以上である。ただし,5〜9を積極的な義務,また,10を消極的な義務と称している。こうした「義務」の概念は,人間理性の求める「自然的な義務」の概念とされ,すでに述べた「責任」の概念と違って,公正な社会を前提としないし,そこから利益を得ているという条件も,与えられる機会を自分の利得に活用するという条件も充たす必要のない概念であるということに特徴がある点を指摘し,その理由についても考察を加えた。こうした責任と義務の定義によって,公正な社会における個人の責任と義務がはっきりと理解され,より正しい社会の確立と維持に寄与するに違いないと考える。
著者
藤川 吉美
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.95-106, 1978-10-20 (Released:2009-05-29)
被引用文献数
1
著者
藤川 吉美
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.25-36, 1971-12-01 (Released:2009-05-29)
参考文献数
17
被引用文献数
1

1 0 0 0 OA 書評

著者
藤川 吉美他
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.121-128, 1979-11-10 (Released:2009-05-29)
被引用文献数
1 1

1 0 0 0 OA 書評

著者
藤川 吉美
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.139-140, 1978-10-20 (Released:2009-05-29)
著者
石本 新 藤川 吉美
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.5-17, 1969-10-10 (Released:2009-05-29)
参考文献数
7

In this paper some bi-modal systems involving two kinds of modal operators are constructed in Gentzen-type formulations with the proof of the " Hauptsatz " for some of these systems.
著者
石本 新 藤川 吉美
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.9-22, 1968-10-10 (Released:2009-05-29)
参考文献数
12

This paper concerns the construction of a modal sentential calculus, which constitutes a subsystem of Lewis' S 1 and a decision method of the proposed calculus. The method represents a generalization of that rendered by McKinsey for Lewis' S 2 as well as for S 4 and is characterized by the construction of all the finite regular matrices containing not more than a certain number of elements specified by the given formula.