著者
藤田 伸也
出版者
三重大学
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.161-170, 2003-03-25

詩と書と画に優れることを意味する詩書画三絶は中国文人の理想であった。書画と併称されるように絵画は書と密接な関係があり、書と画は根本的に一致すると考えられてきた。詩文は直接的に画題を絵画に提供する場合もあるが、両者は情景描写という点で共通することから、画を「無声詩」、詩を「有声画」と呼んできた。本論は詩書画三絶の視点から南宋画院の絵画について考察を試みた。文人画の理論をあえて宮廷絵画に当てはめることにより、南宋画院絵画の性格が明確となるのではないかと考える。まず詩書画三絶とは何かについて、主要画史での三絶の用例を追いながら述べ、次いで南宋画院のあり方に強い影響を与えた徽宗朝画院の状況を考察する。そして南宋画院の初期を代表する李唐と中期の画院最盛期の中心画家馬遠の事例分析を通して、画院画院の画と詩および書との関係について述べその芸術性を探る。
著者
土井 俊祐 井出 博生 井上 崇 北山 裕子 西出 朱美 中村 利仁 藤田 伸輔 鈴木 隆弘 高林 克日己
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.157-166, 2015 (Released:2016-10-21)
参考文献数
8

急速に高齢化が進む首都圏においては,医療機関が充実しているにもかかわらず,今後近隣の病院を受診できない事態が想定される.そこで本研究では,交通解析に基づく患者受療圏モデルにより,患者が通院できる範囲を考慮した上で将来の医療の需給バランスを推計する手法を検討した.方法として,1都3県の500 mメッシュごとに,国勢調査人口と各政府統計から2040年までの病院への入院患者数を推計した.病院までの移動時間は車で60分以内としてシミュレートし,患者数と各病院の病床数と比較した.結果として,2020年以降病床数の不足するメッシュが発生し,東京を中心に広がっていくことが示された.また,平均在院日数等のパラメータを変化させ需要超過の推移を見たところ,需要超過量の減少傾向を地理的・経時的に見ることができたことから,本研究により医療需要の急増に備える対策を検討する上で,具体的な目標値を提供することに期待できる.
著者
藤田 伸也 Fujita Shinya
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.109-123, 2010-03-28

明治のころ、三重県の北勢地方では万古焼が四日市を中心に盛んに焼かれ、全国的にその名は知られて、商業的にも成功していた。しかし現在、万古焼は美濃や瀬戸に比べて知名度は低く、陶磁の産地としての規模も小さく、また陶芸作家の活動も卓越しているとはいい難い。この論考では明治以後現在に至る万古焼の道程を振り返り、日本近代陶芸の発展の様相を探り、芸術と産業の間で揺れ動く陶芸の可能性について万古焼を中心に考える。まず今回は明治時代から昭和時代前半期戦時下までの万古焼の歴史を振り返る。
著者
坂本 祐二 桒原 聡文 藤田 伸哉
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-05-17

東北大学が主として開発または協力した3衛星、DIWATA-2、RISESAT、ALE-1が2018年10月からの3か月間で、立て続けに打ち上げられた。東北大学構内に設置している2.4m口径パラボラアンテナを有する地上局を用いて、3衛星を日々観測している。本講演では、2009年より継続・発展してきた運用システムをハード・ソフトの両面で解説する。また、フィリピン、スウェーデン、函館、福井など、連携中または準備中の地上局ネットワークについても紹介する。 本地上局は、東北大学の1号機衛星SPRITE-SATのために整備され、超小型衛星を対象として使用を開始した。基本的に低高度地球周回衛星が対象であり、約10~12分のパスにおいて、アンテナ指向方向を制御し、送受信機の周波数を制御して、通信を確立する。衛星追尾は対象衛星を登録するだけで、自動的に最新の軌道を収集し、上空通過時に自動追跡を開始・終了する。運用者は、衛星との通信に集中し、地上局の管理に気を払う必要はない。 現在、前期の最新3衛星に加え、DIWATA-1、RISING-2、SPRITE-SATとの通信も不定期に実施している。本地上局が対応できる通信仕様は、ITU国際通信連合にJCUBES-Bの群衛星として登録されており、今後も兄弟衛星が打ち上げられる予定である。国際機関への電波申請には申請準備も含めて、1年以上の時間を要する。企画から打上まで1年半以内で実現できる現状において、電波申請作業はプロジェクトにおいてトラブル要因となりうる。本地上局を使用する衛星ネットワークの輪が広がることで、衛星開発者に大きなメリットをもたらすと考えている。
著者
藤田 伸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.21-30, 2006-09-30 (Released:2017-07-11)
参考文献数
30

本研究は、"17種のウォールペーパー・パターン"という数学のトピックスを、デザインの課題として取りあつかったものである。このトピックスを説明するにあたり、数学者たちはそれぞれの17図版を提示しているが、それらは数学を学ぶ者を対象に描かれたもので、デザイナーが模様を手がける際の手引きとはなりがたい。"17種のウォールペーパー・パターン"をデザインの世界で役立てるためには、数学者ではなくデザイナーによって描かれた17図版が望ましい。本研究では、デザイナーの創作に直接役立つ17図版の考案をこころみた。図版考案に際しては、今から100年以上前に『パターン・デザイン』をあらわしたルイス・デイより、図版における創作姿勢を見習った。本研究では17図版それぞれに、(1)ひとつのモチーフでの展開例、(2)複数のモチーフでの展開例、さらに(3)アルファベット文字をもちいた展開例をしめすことができた。
著者
土井 俊祐 井出 博生 竹内 公一 藤田 伸輔
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.45-49, 2017-02-10 (Released:2017-04-25)
参考文献数
9

Personal Health Records (PHRs), a system that enables people to manage, share, and apply personal healthcare data using information and communication technology, is expected to be an effective method to realize a vigorous society with longevity. However, it is not clear how the user's opt-in agreement and self-management of personal data may be achieved. Thus, we developed a new method to optimize opt-in agreement and access control for users in a PHR developed at Chiba University, the Social Health Assist Chiba (SHACHI). In SHACHI, participating facilities such as hospitals, clinics, pharmacies, and nursing care services display a user's unique two-dimensional bar code on a web browser. The user reads the bar code by him/herself using the “SHACHI App,” which is installed on his/her smart phone beforehand. SHACHI considers this process to signify the user's opt-in agreement. Moreover, users can retract or resume this agreement using the SHACHI App at any time. This system enables the users to self-manage personal data in PHRs. The new system satisfies government requirements and the conditions required for PHR presented in a previous study. This new system can be adopted easily by other PHRs. We plan to identify the required functionalities of standard PHRs and secondary utilization of data stored in PHRs which may be managed through the new system.