著者
松本 元伸 小谷 麻由美 藤田 晃人 田中 敏郎
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.3-7, 2001-02-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
8
被引用文献数
4 5

われわれは, 柿葉抽出物が好塩基球細胞からのヒスタミン遊離を抑制することを以前に報告した。本報文において, われわれはアトピー性皮膚炎モデルマウス, NC/Ngaを用いて皮膚炎発症に対する柿葉抽出物の影響をみた。皮膚症状が発現した後, NC/Ngaマウスにコントロール食またはコントロール+柿葉抽出物を4週間経口摂取させた。皮膚症状が進展した後, 血清IgE値, 引っ掻き行動を測定した。また, 甜茶と青しそ, 柿葉抽出物によるPCA抑制力価を動物モデルで検討した。柿葉抽出物投与により, アトピー性皮膚炎モデルマウスNC/Ngaマウスの皮膚炎および痒みの軽減, 血清IgE値の抑制を認めた。また, 甜茶と青しそ, 柿葉抽出物によるPCA抑制力価を動物モデルで検討したところ, 柿葉抽出物投与群で濃度依存的に耳介浮腫の抑制がみられた。これらの結果は柿葉抽出物が抗アレルギー作用を有することを示唆するものである。
著者
高井 許子 水道 裕久 藤田 晃人 小谷 麻由美 山西 敦之 澄川 一英 光岡 知足
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.27-35, 2001 (Released:2011-02-23)
参考文献数
16
被引用文献数
3

便秘症状を自覚する成人25名 (22~57歳, 平均年齢33.3歳) を対象に, 乾燥ビール酵母錠剤および乾燥ビール酵母を乳酸菌で発酵 (Lactobacillus rhamnosus SN88株でpH4.07まで発酵) したものを配合して加熱殺菌した飲料による, 排便 (便通・便性) に及ぼす影響について検討した.12名に乾燥ビール酵母錠剤を1日25錠 (酵母量3.75g) 〈 以下錠剤群と略記 〉, 13名に乳酸菌発酵ビール酵母飲料を1日1缶 (160g, 酵母3.75gを含む) 〈 以下飲料群と略記 〉, それぞれ3週間摂取させた.錠剤群には, 摂取時に飲料と同量の水も摂取させた.摂取期間の前後に各2週間ずっ非摂取期間を設け, 排便に関するアンケート調査を実施した.試験期間中, 発酵乳, オリゴ糖, 納豆, 野菜ジュースなど便性に影響を与える可能性がある食品, 薬剤の摂取を控えさせた以外は特に食事制限は行わなかった.摂取期間終了時の有効症例である解析対象者は, 錠剤群で9名, 飲料群で8名となった.その結果, 飲料群について, 摂取期間中に排便回数, 排便量, 排便後の感覚 (すっきり感), 1週ごとの便秘自覚状況の有意な改善が認められた.便の形状, 硬さについても改善の傾向はあったが, 有意な差ではなかった.また摂取を終了すると, 便通の状態は摂取前に近い状態に戻った.錠剤群に関しても, 摂取により便通改善の傾向は認められたが有意な差ではなかった.以上の結果より, 乳酸菌発酵ビール酵母飲料は, 便秘の人の排便改善に有用であることが明らかになった.