著者
中島 光一 水道 裕久 江口 徹 中村 正一 杉原 邦夫 村山 洋二
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.463-471, 1987-06-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
45
被引用文献数
8 5

歯周病の化学療法をめざし, 歯周病原性細菌に有効な抗生物質を選択する目的で, 6菌種の歯周病原性細菌に対する10種の抗菌物質の最小生育阻止濃度, および歯肉縁下プラーク細菌に対する感受性を検討した。その結果, 被験抗菌物質の中でミノサイクリン (MINO), テトラサイクリン (TC), ペニシリンG (PCG), セフメタゾール, クリンダマイシン (CLDM), メトロニダゾール (MD), が黒色色素産生性Bacteroidesに強い抗菌性を示した。さらにMINOはほかの被験菌種に対しても強い抗菌作用を示した。また, 縁下プラーク細菌に対しては, MINO, PCGが強い抑制効果を示し, 1μg/mlの濃度で95%以上の細菌を抑制した。CLDM, TCは5μg/mlで同様の抑制効果を示したが, MD, クロルヘキシジンの抑制効果は低かった。以上の結果より, 歯周病原性細菌に対して強く幅広い抗菌活性を有するMINOは歯周病治療に用いる抗生物質として優先される薬剤であると考えられた。
著者
田淵 真愉美 久保木 真 水道 裕久 河原 和枝 冨岡 加代子 川上 貴代 平松 智子 塚本 幾代
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.27-37, 2015

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、外来診療や健診で高頻度に認められる疾患である。近年、NAFLD における抗酸化療法が試みられているが、ビタミンC 摂取の効果に関する報告はほとんどない。本研究では、外来受診したNAFLD 患者を対象に、通常の食事に加えて緑色野菜ジュースを8 週間飲用させ、身体状況、臨床検査値、栄養素等摂取状況、血中脂肪酸組成、血漿α−トコフェロール濃度の分析を行い、緑色野菜ジュースの飲用が血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値および血漿α−トコフェロール濃度に及ぼす影響について検討した。緑色野菜ジュースの飲用により、9 例中6 例にALT の低下が認められた。緑色野菜ジュースの飲用は、ビタミンC の摂取量を増大させ、特に肥満度が軽度(BMI < 30)のNAFLD 患者では血漿α−トコフェロール濃度の上昇によって脂肪酸代謝を改善させ、肝機能を改善させる可能性が示唆された。Nonalcoholic fatty liver disease (NAFLD) is a disease to be found in ambulatory care andhealth check-up frequently. In late years antioxidant therapy in NAFLD is tried, but there are few reports about the effect of vitamin C intake. In this study, NAFLD outpatients were given green vegetable juice in addition to a daily diet to be drunk for eight weeks, and we analyzed anthropometric measurements, clinical data, dietary intakes, fatty acid composition in erythrocyte membrane phospholipid and plasma α-tocopherol concentration to examine the effect of supplementation of green vegetable juice on serum ALT level and plasma α-tocopherol concentration. After the supplementation of green vegetable juice, serum ALT level was decreased in six of nine patients. It is suggested that green vegetable juice supplementation increases intake of vitamin C, and particularly in NAFLD patients that an obesity index is mild( BMI<30), fatty acid metabolism may be improved by the increase in plasma α-tocopherol concentration and liver function may be also improved.
著者
高井 許子 水道 裕久 藤田 晃人 小谷 麻由美 山西 敦之 澄川 一英 光岡 知足
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.27-35, 2001 (Released:2011-02-23)
参考文献数
16
被引用文献数
3

便秘症状を自覚する成人25名 (22~57歳, 平均年齢33.3歳) を対象に, 乾燥ビール酵母錠剤および乾燥ビール酵母を乳酸菌で発酵 (Lactobacillus rhamnosus SN88株でpH4.07まで発酵) したものを配合して加熱殺菌した飲料による, 排便 (便通・便性) に及ぼす影響について検討した.12名に乾燥ビール酵母錠剤を1日25錠 (酵母量3.75g) 〈 以下錠剤群と略記 〉, 13名に乳酸菌発酵ビール酵母飲料を1日1缶 (160g, 酵母3.75gを含む) 〈 以下飲料群と略記 〉, それぞれ3週間摂取させた.錠剤群には, 摂取時に飲料と同量の水も摂取させた.摂取期間の前後に各2週間ずっ非摂取期間を設け, 排便に関するアンケート調査を実施した.試験期間中, 発酵乳, オリゴ糖, 納豆, 野菜ジュースなど便性に影響を与える可能性がある食品, 薬剤の摂取を控えさせた以外は特に食事制限は行わなかった.摂取期間終了時の有効症例である解析対象者は, 錠剤群で9名, 飲料群で8名となった.その結果, 飲料群について, 摂取期間中に排便回数, 排便量, 排便後の感覚 (すっきり感), 1週ごとの便秘自覚状況の有意な改善が認められた.便の形状, 硬さについても改善の傾向はあったが, 有意な差ではなかった.また摂取を終了すると, 便通の状態は摂取前に近い状態に戻った.錠剤群に関しても, 摂取により便通改善の傾向は認められたが有意な差ではなかった.以上の結果より, 乳酸菌発酵ビール酵母飲料は, 便秘の人の排便改善に有用であることが明らかになった.