著者
時村 金愛 久米 隆志 藤田 清貴 北原 兼文
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.29-34, 2017-02-20 (Released:2022-10-26)
参考文献数
16

サツマイモ品種「こなみずき」の澱粉製造において,塊根磨砕物のpH を変えて調製した澱粉の白度や粘度特性等を測定し,pH 調整が澱粉の品質に与える影響を調査した.モデル実験では,「こなみずき」塊根を磨砕した磨砕物に水酸化カルシウム[Ca(OH)2] 飽和水溶液を添加してpH を6.4~9.0 の範囲で調整してから澱粉を調製した.無添加のpH 6.4 で調製した澱粉は白度が84.9 であるのに対して,弱アルカリ(pH 7.8~9.0) で調製した澱粉は白度が87.3~88.3 と向上した.一方,RVA による粘度上昇温度は58.4~59.9°C の範囲にあり,また澱粉ゲル(わらびもち) や澱粉糊液の付着性や粘弾性においても大きな変化はなく,pH 調整が澱粉の粘度特性や物性に与える影響は認められなかった.次に,澱粉製造工場における磨砕工程にpH 調整を適用した結果, 塊根磨砕後のpH を8.8 に調整して製造した澱粉は91.7 と高い白度の値を示した.また,磨砕工程でのpH 調整が澱粉の粘度特性に与える影響は小さく,澱粉白度が向上した澱粉はポリフェノール吸着量の目安となるアルカリ着色度の値も低かった.これらのことから,栽培環境のストレスによりポリフェノール含量が高まった「こなみずき」塊根であっても,磨砕工程のpH 調整によって澱粉へのポリフェノール吸着が抑制され澱粉白度を向上できることが明らかになった.
著者
鹿島 騰真 石渡 明弘 藤田 清貴 伏信 進矢
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.184-186, 2022 (Released:2022-07-25)
参考文献数
6

ヒトは火を使って調理することでカラメルのように天然には存在しない糖質を含んだ食品を生み出している.私達はビフィズス菌でカラメル化糖に含まれるinulobioseの脱水縮合を平衡的に触媒し,difructose dianhydride I(DFA I)を生成するDFA I synthase/hydrolase(αFFase1)を発見した.本稿ではαFFase1の機能を特定した経緯とX線結晶構造解析による構造基盤について述べる.