著者
廣田 真由美 表 志津子 岡本 理恵 中田(市森) 明恵
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.345-353, 2020 (Released:2020-12-25)
参考文献数
20

退院支援看護師の,積極的治療が困難になったがん患者への退院支援実践能力を明らかにすることを目的とした.全国のがん診療連携拠点病院120施設の退院支援看護師(以下,DPN) 477名に質問紙調査を行い,198名から有効回答を得た(有効回答率41.5%).対象者のDPN経験年数の中央値は2.5年で,90.2%が看護師経験10年以上であった.退院支援実践能力のうち,退院後のケアバランスの調整力は看護師経験とDPN経験の長い群で有意に高く,退院後のケアバランスの見積もり力と療養場所の移行準備力はDPN経験の長い群と在宅・地域ケアの勤務経験のある群で有意に高かったが,患者家族との合意形成力には経験による有意な差が認められなかった.退院支援の質向上のために,個々の経験を生かした人員配置やベテランDPNの経験知を共有できる仕組みづくりが必要であることが示唆された.
著者
棚町 祐子 表 志津子 藤川 幸未 片寄 妙子 田中 瑞穂 村住 英也 中島 志保 宮内 愛 佐伯 和子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.92-99, 2005
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究の目的は,デイケアにおける高齢脳卒中後遺症者の生き生きとした様子に注目し,高齢脳卒中後遺症者の意識から,デイケア参加の意味を明らかにすることである.デイケアを利用する高齢脳卒中後遺症者11名を対象に質的帰納的研究を行い,半構成面接と参加観察によりデータを収集し分析した結果, 3つの中核カテゴリーが抽出された.1つ目は,デイケアを利用することで<障害のある自分を否定的に捉えずにすむ>等から【不安・気兼ね・心配ごとが和らいでいる】, つ目は<リハビリの効果を実感し他の利用者と思いを分かちあい,支えあえる>等から【支えや励みを得て,リハビリを続けていくやる気を保っている】,3つ目は,デイケアへ通所することで<いつもの生活と違った雰囲気が味わえる>等から【生活に新たな喜びを加えていけている】であった.デイケアの専門職は,デイケアが生き生きとした生活を支援する場となるよう,高齢脳卒中後遺症者にとってのデイケア参加の意味に共感し,生活にも目を向けた援助を提供することが重要であると考えられた.