著者
山本 航平 佐伯 和子 平野 美千代
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.29-36, 2016

目的:未成年大学生の飲酒の実態及び飲酒と友人関係ならびに性格特性との関連を明らかにすることを目的とする.<br>方法:A県の3大学の大学1年生から4年生1,122名を対象に,無記名自記式質問紙による集合調査を行った.飲酒の実態は記述統計,関連はχ<sup>2</sup>検定を用いた.<br>結果:有効回答998名(有効回答率89.0%)のうち未成年大学生395名のみを分析対象とした.飲酒する人は234名(59.2%)であり,中高生で純アルコール20g換算以上飲酒したことがある人は87名(22.0%)であった.飲酒は人間関係を深めると回答した人は312名(79.3%),飲酒は20歳になってからと回答した人は209名(54.2%)であった.飲酒の有無は,個人属性では学部,部活・サークル,飲酒に関する体質の自覚,性格特性では外向性と有意な関連があり,友人関係とは有意な関連はなかった.<br>結論:未成年大学生の飲酒と友人関係に有意な関連はなく,性格特性では外向性のみ有意な関連があった.未成年大学生の外向性に重点を置き,飲酒対策を行う必要がある.
著者
山本 航平 佐伯 和子 平野 美千代
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.29-36, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
24

目的:未成年大学生の飲酒の実態及び飲酒と友人関係ならびに性格特性との関連を明らかにすることを目的とする.方法:A県の3大学の大学1年生から4年生1,122名を対象に,無記名自記式質問紙による集合調査を行った.飲酒の実態は記述統計,関連はχ2検定を用いた.結果:有効回答998名(有効回答率89.0%)のうち未成年大学生395名のみを分析対象とした.飲酒する人は234名(59.2%)であり,中高生で純アルコール20g換算以上飲酒したことがある人は87名(22.0%)であった.飲酒は人間関係を深めると回答した人は312名(79.3%),飲酒は20歳になってからと回答した人は209名(54.2%)であった.飲酒の有無は,個人属性では学部,部活・サークル,飲酒に関する体質の自覚,性格特性では外向性と有意な関連があり,友人関係とは有意な関連はなかった.結論:未成年大学生の飲酒と友人関係に有意な関連はなく,性格特性では外向性のみ有意な関連があった.未成年大学生の外向性に重点を置き,飲酒対策を行う必要がある.
著者
長沼 理恵 城戸 照彦 佐伯 和子
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.28-35, 2006-03-24 (Released:2017-04-20)
被引用文献数
1

目的:日本に在住する日系ブラジル人労働者(以下日系人)の保健指導に生かすため,日系人の食生活と食生活行動に結びつく彼らの文化と考え方を明らかにすることとした.方法:エスノグラフィーを用い,日系人14人への面接調査,参加観察,既存の資料の収集を行った.データ分析により食生活についてのテーマを抽出した.結果:テーマ(1)ブラジルにおける日系人の食事はブラジル食と日本食が混じり合った「日系人食」である.テーマ(2)日本における日系人の食事は「日系人食」の形態を保ちながら,自分達の労働条件や味覚に合った食料品や調味料を取り込んでいる.ブラジルにおける日系人の食事は,父母,祖父母から受け継いだ習慣や周囲の環境などによって個人差がみられた.日系人が食べる日本食の特徴は,「ご飯と味噌汁を基本とする」「ブラジル食と日本食が同時に食卓に出る」「日本の調味料を使用する」であった.日本における日系人の食事に影響を与える要因として,「ブラジルで食べていた日本食の頻度」「現在の生活と労働環境」「居住地域で購入可能なブラジル食料品の状況」「来日の目的」があげられた.考察:ブラジルにおける「日系人食」はブラジルに渡った日本人移民の日本食文化が基盤にあった.日本で働く日系人はその日本食文化を受け継いでいるが,現在の日本における日本食文化が変化しているため,現在の日本食文化に適応する必要があった.
著者
上野 祐可子 佐伯 和子 良村 貞子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.143-149, 2017 (Released:2017-03-30)
参考文献数
16
被引用文献数
2

目的 幼児が咀嚼力を獲得するためには,児の口腔形態の変化や機能の発達に見合った硬さの食物を,適切な時期に摂取することが重要である。しかし,1 歳半児の養育者は,児に硬い物を与える必要があるという意識は高いが,児の発達段階より硬すぎるものを目安とする傾向にあった。そこで,1 歳半児の養育者が児の口腔発達に合った食物を与えているかを検討するため,日頃児に与えている食物の硬さの実態を把握し,歯の萌出状況との関連を明らかにすることを目的とした。方法 1 歳半健診を受診した 1 歳半児の養育者を対象に,児の口腔発達の指標として歯の萌出状況を,養育者が児に与える食物の硬さの指標として15品目の食物摂取状況を質問紙により調査した。調査票は無記名で,同意を得られた者のみに研究者もしくは保健師が直接配布し,郵送法により回収した。分析には χ2 検定,Fisher の直接確率検定を用いた。調査は,所属大学の倫理委員会の承認を得て実施した。結果 調査票配布501部,回収210部(回収率40.9%)中,有効回答は202部(有効回答率40.3%)であった。歯の萌出に関しては,切歯が 8 本未萌出である児が17人(8.4%),臼歯が 1 本も萌出していない児は30人(14.9%),上下同じ位置に萌出している臼歯の噛み合わせが2組未満の児が56人(27.7%)であった。歯の萌出と食物の硬さの関連は,「ステーキ・ソテー 1 切れ」を臼歯の噛み合わせが 2 組未満の児の方が,2 組以上ある児より有意に食べていた(P=0.001)。結論 1 割程度の児は,歯の萌出が一般的な発達の目安よりも遅かった。また,臼歯の萌出に適した硬さよりも硬い食事が提供され,十分な咀嚼ができないまま嚥下をしていることが示唆された。特に生野菜や肉類を児に与える時は,調理法にも注意を払うよう促し,乳臼歯の萌出状況に合わせた硬さの食物を提供する必要があると考える。
著者
棚町 祐子 表 志津子 藤川 幸未 片寄 妙子 田中 瑞穂 村住 英也 中島 志保 宮内 愛 佐伯 和子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.92-99, 2005
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究の目的は,デイケアにおける高齢脳卒中後遺症者の生き生きとした様子に注目し,高齢脳卒中後遺症者の意識から,デイケア参加の意味を明らかにすることである.デイケアを利用する高齢脳卒中後遺症者11名を対象に質的帰納的研究を行い,半構成面接と参加観察によりデータを収集し分析した結果, 3つの中核カテゴリーが抽出された.1つ目は,デイケアを利用することで<障害のある自分を否定的に捉えずにすむ>等から【不安・気兼ね・心配ごとが和らいでいる】, つ目は<リハビリの効果を実感し他の利用者と思いを分かちあい,支えあえる>等から【支えや励みを得て,リハビリを続けていくやる気を保っている】,3つ目は,デイケアへ通所することで<いつもの生活と違った雰囲気が味わえる>等から【生活に新たな喜びを加えていけている】であった.デイケアの専門職は,デイケアが生き生きとした生活を支援する場となるよう,高齢脳卒中後遺症者にとってのデイケア参加の意味に共感し,生活にも目を向けた援助を提供することが重要であると考えられた.
著者
長沼 理恵 城戸 照彦 佐伯 和子
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.28-35, 2006
被引用文献数
1

目的:日本に在住する日系ブラジル人労働者(以下日系人)の保健指導に生かすため,日系人の食生活と食生活行動に結びつく彼らの文化と考え方を明らかにすることとした.方法:エスノグラフィーを用い,日系人14人への面接調査,参加観察,既存の資料の収集を行った.データ分析により食生活についてのテーマを抽出した.結果:テーマ(1)ブラジルにおける日系人の食事はブラジル食と日本食が混じり合った「日系人食」である.テーマ(2)日本における日系人の食事は「日系人食」の形態を保ちながら,自分達の労働条件や味覚に合った食料品や調味料を取り込んでいる.ブラジルにおける日系人の食事は,父母,祖父母から受け継いだ習慣や周囲の環境などによって個人差がみられた.日系人が食べる日本食の特徴は,「ご飯と味噌汁を基本とする」「ブラジル食と日本食が同時に食卓に出る」「日本の調味料を使用する」であった.日本における日系人の食事に影響を与える要因として,「ブラジルで食べていた日本食の頻度」「現在の生活と労働環境」「居住地域で購入可能なブラジル食料品の状況」「来日の目的」があげられた.考察:ブラジルにおける「日系人食」はブラジルに渡った日本人移民の日本食文化が基盤にあった.日本で働く日系人はその日本食文化を受け継いでいるが,現在の日本における日本食文化が変化しているため,現在の日本食文化に適応する必要があった.
著者
塚田 久恵 三浦 克之 城戸 照彦 佐伯 和子 川島 ひろ子 伊川 あけみ 西 正美 森河 裕子 西条 旨子 中西 由美子 由田 克士 中川 秀昭
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1125-1134, 2003 (Released:2014-12-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1

目的 乳幼児期の肥満が成人後の肥満にどの程度結びつくかについての日本人でのデータは乏しい。本研究は乳幼児期(3 か月,12か月,3 歳)の肥満度と成人時(20歳)の肥満度との関連を明らかにし,乳幼児健康診査(以下,健診)時の肥満指導のための基礎資料を得ることを目的とする。方法 石川県某保健所管内において1968-1974年に出生した20歳男女を対象として行われた成年健康調査を受診した男女のデータと,同管内における 3 か月,12か月,3 歳の乳幼児健診データとのレコード・リンケージを行い,全ての健診を受診して20年間追跡できた2,314人(男1,080人,女1,234人)を対象とし,乳幼児期と成人時の肥満度の関連について分析した。成績 各月齢・年齢のカウプ指数(または body mass index (BMI))相互間の相関を見たところ,20歳時の BMI と 3 か月時・12か月時・3 歳時のカウプ指数との間ではいずれも有意な正相関が認められ,中で最も強い相関を示したのは 3 歳時カウプ指数とであった(男 r=0.33, P<0.001,女 r=0.42, P<0.001)。乳幼児期の肥満度カテゴリー別に20歳時の肥満者(BMI 25 kg/m2 以上)の割合をみると,3 歳時カウプ指数15未満の者では男で4.6%,女で1.0%であったが,3 歳時カウプ指数18以上の者では男で29.1%,女で29.5%にのぼり,カウプ指数15未満の者に比べ男で6.3倍,女で29.5倍の率となった。3 か月時および 3 歳時におけるカウプ指数が平均未満か以上かのカテゴリー別に20歳時に肥満になっていた割合を検討したところ,3 か月時のカウプ指数が平均以上か未満かを問わず,3 歳時のカウプ指数が平均以上であったもので割合が高かった。結論 乳幼児期の肥満度は20歳時の肥満度と強い関連があったが,3 歳時との関連が最も強かった。3 歳時に肥満であった児は成人時にも肥満である率が約30%と評価され,本データは 3 歳児健診における将来の肥満のアセスメントに利用できると考えられる。
著者
大西 竜太 平野 美千代 佐伯 和子
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.240-248, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
19

目的:3歳児の養育における統制場面でのスマホ使用に関する母親の認識を明らかにする.方法:3歳児の統制場面でのスマホ使用について20~30代の母親10名に対し半構造化面接を実施し,質的記述的分析によりカテゴリーを抽出した.結果:母親は【スマホは子どもの育ちと親役割を奪う存在だ】,【スマホは頼れる「お守り」として私と子どもを支えてくれる】,【便利なスマホは私にとって魅力的である】と統制場面でのスマホの特徴を認識していた.また,【親としてスマホを管理する責任がある】,【スマホが存在する中での親としての在り方と向き合う】という親としての意志を認識していた.考察:スマホは親子への問題性がありながらも,統制の補助手段として有効かつ母親にとって魅力的なツールであった.親子にとってのスマホの良し悪しを踏まえ,母親がスマホをコントロールしながら使うためには,親としての意志の持ち方が重要と考えられる.
著者
麻原 きよみ 小野 若菜子 大森 純子 橋爪 さつき 井口 理 池谷 澄香 小林 真朝 三森 寧子 宮崎 紀枝 長澤 直紀 佐伯 和子 留目 宏美
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.80-88, 2019 (Released:2019-08-30)
参考文献数
25

目的:自治体で働く事務職と保健師が,両者が関わる中で保健師の仕事をいかに認識しているのかについて記述した.方法:2つの自治体の事務職10名,保健師15名に対するインタビューを中心として参加観察,資料の検討を行い,質的に分析した.結果:事務職については〈事務職がもつ基準で保健師の仕事をとらえる〉〈事務職と同じ行政職としての仕事を求める〉のカテゴリと4つのサブカテゴリ,保健師については〈保健師の仕事と専門性が理解されない〉〈行政組織の一員として保健師の仕事をするために努力する〉のカテゴリと4つのサブカテゴリが抽出された.考察:事務職は官僚制組織の特性を示す基準,保健師は専門職の基準で保健師の仕事をとらえていること,そこには組織内の集団間パワーバランスが関連していると考えられた.保健師は事務職とは判断基準が異なることを前提として,協働のあり方や基礎・現任教育を考える必要がある.
著者
横溝 岳彦 佐伯 和子 奥野 利明
出版者
順天堂大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

BLT2は上皮細胞に発現し、腸管バリア機能の維持や皮膚創傷治癒に必要な受容体であることが分かった。BLT2アゴニストは難治性皮膚潰瘍の治療薬候補と考えられた。アスピリンはBLT2リガンドである12-HHTの産生を抑制することで創傷治癒を遅延させた。BLT1、BLT2はゼブラフィッシュの胚発生に必須の遺伝子であった。遺伝子欠損マウスの解析から、BLT1が多発性硬化症を増悪させたり、脊髄損傷の回復を遅らせること、BLT2が気管支喘息の反応を抑制していることも分かった。
著者
仁村 優希 佐伯 和子 青柳 道子
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.268-277, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
23

目的:大都市における高齢者の見守られ意向および見守られたい相手の関連要因を明らかにすることを目的とする.方法:対象は5町内会の65歳以上の高齢者とした.無記名自記式質問紙を用いて,個人属性,町内の人との交流,見守られの現状,見守られへの期待と心配,見守られることに対する意識を調査した.関連要因の分析は,χ2検定,Fisherの直接確率検定を用いた.結果:回収数は526部,有効回答数は511部だった.74.0%に見守られたい意向があった.住民から見守られたいという希望は,安心感の獲得と人とのつながりの期待が有意に高かった.介護や保健医療の専門職の希望は,生活の維持への期待が高かった.生活支援サービスや機器によるシステムの利用希望は,他者からの干渉と相手を信頼できないことの心配が高かった.考察:高齢者は見守る側との関係性を考慮し,見守られへの期待と心配の内容により見守られたい相手を選択していると考えられる.