著者
森河 裕子 中川 秀昭 田畑 正司 西条 旨子 千間 正美 北川 由美子 河野 俊一 寺西 秀豊 城戸 照彦
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1057-1062, 1992-02-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2

We studied an outbreak of itai-itai disease in the Jinzu River basin, in Toyama, Japan. One hundred and fifty females recognized as itai-itai disease patients till by 1990 were studied for the ages and years of onset and residence in the cadmium-polluted area.1. Cases were recognized from as early as 1929, increased gradually to the peak of 1955-1959 and rapidly decreased up to the 1970s.2. It was found that the later the patients was born, the younger the age of onset, though there was no difference of ages of onset between the cases born in the 1910s and the cases born from 1920.3. The onset of itai-itai disease was most frequently seen at 50-59 years of residence in the cadmium-polluted area. It was found that the later a person started to inhabit the cadmium-polluted area, the shorter the period of residence in the cadmium-polluted area up to onset of itai-itai disease.4. Comparing the patients who inhabited the cadmium-polluted area from birth and those who had moved there from non-polluted areas, the age of onset was higher in the latter, but there were no significant differences in the period of residence up to onset.From these findings, it appeared that itai-itai disease was not caused by aging, but by cadmium exposure starting from the 1910s.
著者
長沼 理恵 城戸 照彦 佐伯 和子
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.28-35, 2006-03-24 (Released:2017-04-20)
被引用文献数
1

目的:日本に在住する日系ブラジル人労働者(以下日系人)の保健指導に生かすため,日系人の食生活と食生活行動に結びつく彼らの文化と考え方を明らかにすることとした.方法:エスノグラフィーを用い,日系人14人への面接調査,参加観察,既存の資料の収集を行った.データ分析により食生活についてのテーマを抽出した.結果:テーマ(1)ブラジルにおける日系人の食事はブラジル食と日本食が混じり合った「日系人食」である.テーマ(2)日本における日系人の食事は「日系人食」の形態を保ちながら,自分達の労働条件や味覚に合った食料品や調味料を取り込んでいる.ブラジルにおける日系人の食事は,父母,祖父母から受け継いだ習慣や周囲の環境などによって個人差がみられた.日系人が食べる日本食の特徴は,「ご飯と味噌汁を基本とする」「ブラジル食と日本食が同時に食卓に出る」「日本の調味料を使用する」であった.日本における日系人の食事に影響を与える要因として,「ブラジルで食べていた日本食の頻度」「現在の生活と労働環境」「居住地域で購入可能なブラジル食料品の状況」「来日の目的」があげられた.考察:ブラジルにおける「日系人食」はブラジルに渡った日本人移民の日本食文化が基盤にあった.日本で働く日系人はその日本食文化を受け継いでいるが,現在の日本における日本食文化が変化しているため,現在の日本食文化に適応する必要があった.
著者
長沼 理恵 城戸 照彦 佐伯 和子
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.28-35, 2006
被引用文献数
1

目的:日本に在住する日系ブラジル人労働者(以下日系人)の保健指導に生かすため,日系人の食生活と食生活行動に結びつく彼らの文化と考え方を明らかにすることとした.方法:エスノグラフィーを用い,日系人14人への面接調査,参加観察,既存の資料の収集を行った.データ分析により食生活についてのテーマを抽出した.結果:テーマ(1)ブラジルにおける日系人の食事はブラジル食と日本食が混じり合った「日系人食」である.テーマ(2)日本における日系人の食事は「日系人食」の形態を保ちながら,自分達の労働条件や味覚に合った食料品や調味料を取り込んでいる.ブラジルにおける日系人の食事は,父母,祖父母から受け継いだ習慣や周囲の環境などによって個人差がみられた.日系人が食べる日本食の特徴は,「ご飯と味噌汁を基本とする」「ブラジル食と日本食が同時に食卓に出る」「日本の調味料を使用する」であった.日本における日系人の食事に影響を与える要因として,「ブラジルで食べていた日本食の頻度」「現在の生活と労働環境」「居住地域で購入可能なブラジル食料品の状況」「来日の目的」があげられた.考察:ブラジルにおける「日系人食」はブラジルに渡った日本人移民の日本食文化が基盤にあった.日本で働く日系人はその日本食文化を受け継いでいるが,現在の日本における日本食文化が変化しているため,現在の日本食文化に適応する必要があった.
著者
塚田 久恵 三浦 克之 城戸 照彦 佐伯 和子 川島 ひろ子 伊川 あけみ 西 正美 森河 裕子 西条 旨子 中西 由美子 由田 克士 中川 秀昭
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1125-1134, 2003 (Released:2014-12-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1

目的 乳幼児期の肥満が成人後の肥満にどの程度結びつくかについての日本人でのデータは乏しい。本研究は乳幼児期(3 か月,12か月,3 歳)の肥満度と成人時(20歳)の肥満度との関連を明らかにし,乳幼児健康診査(以下,健診)時の肥満指導のための基礎資料を得ることを目的とする。方法 石川県某保健所管内において1968-1974年に出生した20歳男女を対象として行われた成年健康調査を受診した男女のデータと,同管内における 3 か月,12か月,3 歳の乳幼児健診データとのレコード・リンケージを行い,全ての健診を受診して20年間追跡できた2,314人(男1,080人,女1,234人)を対象とし,乳幼児期と成人時の肥満度の関連について分析した。成績 各月齢・年齢のカウプ指数(または body mass index (BMI))相互間の相関を見たところ,20歳時の BMI と 3 か月時・12か月時・3 歳時のカウプ指数との間ではいずれも有意な正相関が認められ,中で最も強い相関を示したのは 3 歳時カウプ指数とであった(男 r=0.33, P<0.001,女 r=0.42, P<0.001)。乳幼児期の肥満度カテゴリー別に20歳時の肥満者(BMI 25 kg/m2 以上)の割合をみると,3 歳時カウプ指数15未満の者では男で4.6%,女で1.0%であったが,3 歳時カウプ指数18以上の者では男で29.1%,女で29.5%にのぼり,カウプ指数15未満の者に比べ男で6.3倍,女で29.5倍の率となった。3 か月時および 3 歳時におけるカウプ指数が平均未満か以上かのカテゴリー別に20歳時に肥満になっていた割合を検討したところ,3 か月時のカウプ指数が平均以上か未満かを問わず,3 歳時のカウプ指数が平均以上であったもので割合が高かった。結論 乳幼児期の肥満度は20歳時の肥満度と強い関連があったが,3 歳時との関連が最も強かった。3 歳時に肥満であった児は成人時にも肥満である率が約30%と評価され,本データは 3 歳児健診における将来の肥満のアセスメントに利用できると考えられる。
著者
城戸 照彦 小林 悦子 能川 浩二
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

バブル経済崩壊後、輸出産業である自動車や電気製品製造業に従事していた日系人労働者は再契約されず、各職場からその存在はほぼ消失した。一方、安定した国内市場を有する食品製造業においては、平成2年以降、今日に至るまで雇用が継続している。今回、調査対象とした事業所は従業員約2000名を有するが、そのうち平均30〜50名の日系ブラジル人を雇用している。契約期間は平均2〜3年で、満期になると大半は一時帰国する。日本で蓄えた金額は、住居の新築等に当てられ、住環境も改善され、ブラジルにおける充実した生活の糧となっている。5年間の雇用を通じて、新規の者は減り、再来日した者が主な労働力となっている。その結果、初期に問題となった結核等の感染者は、現在は発見されていない。また、食品製造業の性格上、入国後、約2週間は消化器系伝染病の保菌者の有無を確認し、その上で就労を開始しているので、入国時のトラブルも特に見られない。人事面でも、勤勉な労働者が再雇用され、生活習慣もより健康的な方向に向かっている。ただし、食習慣については、ブラジルとほぼ同様な食料品の入手が日本国内でも可能であり、その結果として、初期に指摘された、日本人に比べ、高度肥満が多い傾向は変わっていない。それと共に、高脂血症をはじめとした成人病対策は、日本人同様必要である。Zungの抑うつ尺度を用いた調査は、当事業所の定期健康診断が春期に実施されている関係上、今後、調査を開始する予定である。