著者
西 信康
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、万物の生成変化に関する中国古代道家思想の生成論と、人性論を含む儒家の倫理学説とを対象とする。道家の生成論を儒家の倫理学説に対する存在論的基礎を提供するものと想定し、儒道二学派の思想的形成過程とその思想的交渉の具体的様相を解明する。併せて、儒家の倫理学説における解釈史上の諸問題を実証的に解決し、各資料の新解釈の提示のみならず、研究者の視点を更新する解釈学的批判に取り組む。対象となる一次資料は、世代を超えて今日まで伝わる伝世(でんせい)文献と、新たに発見された出土資料との二種類である。
著者
西 信康
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究課題は、古代儒家思想における人性論の歴史的展開と、儒家道家の思想交渉の歴史的展開に関する研究を進めた。具体的には、(1)『孟子』所載の仁内義外説を再検討し、「義」に対する告子の倫理思想を明らかにした。(2)郭店楚簡『性自命出』に見える「性」「命」「勢」「物」といった概念の意味内容と比喩表現を再検討し、その思想的特徴を明らかにした。(3)上博楚簡『民之父母』に見える「五至」について、『老子』『荘子』『淮南子』の記載を手がかりにその意味内容を検討し、儒家と道家の思想的交渉の様子を明らかにした。