著者
籠 浩昭 西岡 利博 石川 雅基 中川 祐 塚本 享治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.201-202, 1995-03-15

オブジェクト指向分散環境OZ++は、広域ネットワークに接続された計算機群においても、オブジェクトの共有と交換の機構を利用することで分散したソフトウェア資源を共用し、柔軟な分散アプリケーションの開発を可能にすることを目指したシステムである。OZ++では、分散アプリケーションの開発を支援するツール群としてデバッガ、ブラウザ、ランチャ、コンパイラフロントエンドなどを提供している。本諭文では、OZ++で提供する開発支援ツールを統合的にまとめあげ、プログラマ個々人のプログラム環境を提供する枠組みとしてのワークベンチの概要に関して述べるとともに、このワークベンチを利用した複数プログラマによる協調作業支援への応用に関して述べる。
著者
保田 正則 藤野 晃延 西岡 利博 塚本 享治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.303-304, 1997-03-12

広域分散システム上で、そこに参加している各組織が管理している情報資源を相互に利用したいという需要がある。しかし、実用的なシステムでは、それらの資源は独自の管理ポリシーに基づいて管理されており、意味的/表現形式的に不均質であるので、この相違を埋めなければならない。例えば自動二輪免許は日本では限定付 (中型二輪) と限定解除の二種による規制があるが、米国ではこの分類は存在しないため、日本の二輪免許所持者はその限定付/解除の分類に拘らず、米国では全ての排気量の二輪車両を運転できる。このような相違を埋めるために新たに均質なシステム (上の例で言えば、日米共通の法律) を導入するのは、管理ポリシー上からもコスト面からも不適切なことが多い。既存のシステム間でのサービス利用インタフェースを変換するような方向で調整できれば、リソースの自治的管理を保ったまま相互利用が可能となる。そこで、現在開発しているオブジェクト指向分散環境OZに、そのような変換の枠組みであるフェデレーションの機構を導入すべく、その概念設計を行ったので報告する。
著者
塚本 享治 濱崎 陽一 音川 英之 西岡 利博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.853-864, 1996-05-15
参考文献数
18
被引用文献数
8

ネットワークと計算機の普及によって 数多くの計算機がネットワークによって接続された分散環境が広く使われるようになってきた. しかし 分散環境で動作するアプリケーションの開発には OS等の広範な知識が要求されるとともに 単一計算機上のアプリケーションにない (1)データの移動によるデータとプログラムの所在の不一致 (2)局所的な変更で相互運用性が損なわれる (3)プログラムを共有・再利用することが難しいなどの問題がある. これらの問題を解決するために オブジェクト指向技術を分散環境に採用し オブジェクト指向分散環境0Z++を開発した. 本論文では その基本部分 すなわち (1)オブジェクトを共有し配送する機能 (2)必要なクラスを自動的に取り寄せる機能 (3)クラスの新旧バージョンを混在させて開発・実行する機能 に焦点を絞り その設計思想 実現方法 性能評価について述べる. クラスのインタフェースに着目したバージョン管理と新旧バージョンの混在利用に工夫がされている.Distributed environments with many computers and networks are becoming popular nowadays. However, the development of application programs for a distributed environment is harder than for a single machine. The reasons are (1)programs which process data do not always exist where the data are transferred, (2)programs which are modified locally are not inter-operable with others, (3)sharing or reusing programs is almost impossible, etc. To solve these problems, we developed an object-oriented distributed environment OZ++. The topics of this paper are the design, implementation and preliminary evaluation of the OZ++ system. This paper describes in detail the basic features of OZ++: (1)objects are shared and transferred among machines, (2)classes are delivered on demand to where they are required,(3)classes of different versions can be developed and executed at the same time. Version management based on interfaces of classes is one of outstanding features of OZ++.