- 著者
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西島 孜哉
- 出版者
- 武庫川女子大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2006
西鶴の使用語彙から策定された人間文化の総体について、現時点では次のような試案を想定し、その吟味と検証、補訂を行っている。それは新しい人間文化のモデルを提言しうるものと考えている。人間文化を大きく5 つの構成要素に分類し、その要素を生成する小概念をたてる。What/Why何を/なぜ大切にするか(人間尊重・帰属性・規律性・社交性キーワード : 不義・人はならはせ・生国・義理・情・はなしHow/どのような生き方をするか(誠実性・着実性・知の継承)キーワード : 誠・長者丸・世の鑑What/How何を/どのように創り出すか(創造性・素人性・玄人性)キーワード : 仕出し・贔屓・家職・家業What/How何を/どのように求めるか(現実重視・精神性・向上心・競争心)キーワード : 浮世・訳知り・粋・天下一What/How何を/どのように受けつぐか(伝統文化融合・地域文化融合・国際性)キーワード : 俗源氏・珍奇・世界括弧内の小概念を成立させるキーワードを設定する。西鶴作品の中で人間文化と関わりのある語彙を選定してキーワードとして取り上げた。短期間の研究であり、キーワードは僅かしかあげえないが、今後引き続いて西鶴作品から数多くのキーワードを抽出しうると考えている。そのキーワード群によって構築する西鶴の人間文化図と現代の人間文化との対比によって、新しい提言が可能となるのである。