著者
永田 雅靖 矢野 昌充 西條 了康
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.322-326, 1992-04-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
13
被引用文献数
4 4

貯蔵中のカットキャベツの酵素をアリルイソチオシアネート(AITC)が抑制する機構について検討した.蒸留水で処理した対照サンプルは褐変したが, AITC処理(>2.5mg/100g)したカットキャベツの褐変は抑制された.ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性と全フェノール物質含有量は貯蔵に伴って上昇したが,AITC処理したカットキャベツの場合には,そのような変化は見られなかった.フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性は貯蔵に伴って,著しく上昇したが,これに対してもAITCは阻害効果を示した. PPOとPALの活性に対する直接の阻害は,切断直後に処理した場合に,カットキャベツの褐変がほぼ完全に抑制できる濃度のレベルでは観察されなかった.これらの結果から, AITCによって貯蔵中のカットキャベツの褐変が抑制される機構は,切断傷害によってPALやPPOの活性が上昇する段階をAITCが阻害することによるものと推定された.