著者
西田 佐知子 西田 隆義 高倉 耕一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-10-20

植物には、気温や地質条件などでは説明できない不可解な分布様式を示すものがある。このような分布は、繁殖干渉という、繁殖過程で他種(とくに生殖機構が似ている近縁種)が悪影響を与える現象で説明できる可能性がある。そこで本研究では主にフウロソウ属植物などを用い、繁殖干渉が植物の分布に及ぼす影響について調査と解析を行った。その結果、フウロソウ属の中でも繁殖干渉が見られること、それが近縁種の棲み分けなどに関わっている可能性があることを確認した。
著者
佐藤 純子 SATO Junko 西川 輝昭 NISHIKAWA Teruaki 西田 佐知子 NISHIDA Sachiko 門脇 誠二 KADOWAKI Seiji
出版者
名古屋大学博物館
雑誌
名古屋大学博物館報告 (ISSN:13468286)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.169-184, 2010-12-25

Chīmā (Chinese paper charm) and Chīchen (Hell bank note) are pictures engraved on woods and printed on simple plain papers. Most of them are made to wish the people’s good fortune, and they act as an important mediator between Chinese gods and the people in folklore belief. This review presents a list of the Chinese paper charm and the hell bank note collections, which consist of 590 specimens donated mainly by Mr. Hiroshi Asami and Mr. Saburo Ito to the Nagoya University Museum since 2004.
著者
高倉 耕一 西田 佐知子 西田 隆義
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.151-162, 2010
参考文献数
26
被引用文献数
2

Reproductive interference (RI) refers to negative interspecific interactions in which the reproductive activities of one species directly reduce the reproductive success of another species. RI can be observed in various events in plant reproductive processes, such as stigma clogging and pollen allelopathy. The most conspicuous feature of RI is its positive frequency dependence and its self-reinforcing impact via positive feedback: when two species exert RI on one another, the more abundant species exerts a more intense adverse effect on the reproductive success of the other and then becomes more abundant. Therefore, two species that exert RI on each other essentially cannot co-exist, even if the interfering effect is subtle. Increasing numbers of studies have verified the effects of RI in plants, but the phenomenon is still misunderstood. Here, we present a theoretical outline of RI, discriminating it from hybridization or pollen competition, and address its pivotal importance in the relationships between invasive plants and native relatives, the exclusive distributions of closely related species, and character displacement between these species.
著者
西田 佐知子
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 : bunrui : 日本植物分類学会誌 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.137-151, 2004-08-31
著者
高倉 耕一 西田 佐知子 西田 隆義
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.151-162, 2010-08-27 (Released:2017-03-25)
参考文献数
26
被引用文献数
2

Reproductive interference (RI) refers to negative interspecific interactions in which the reproductive activities of one species directly reduce the reproductive success of another species. RI can be observed in various events in plant reproductive processes, such as stigma clogging and pollen allelopathy. The most conspicuous feature of RI is its positive frequency dependence and its self-reinforcing impact via positive feedback: when two species exert RI on one another, the more abundant species exerts a more intense adverse effect on the reproductive success of the other and then becomes more abundant. Therefore, two species that exert RI on each other essentially cannot co-exist, even if the interfering effect is subtle. Increasing numbers of studies have verified the effects of RI in plants, but the phenomenon is still misunderstood. Here, we present a theoretical outline of RI, discriminating it from hybridization or pollen competition, and address its pivotal importance in the relationships between invasive plants and native relatives, the exclusive distributions of closely related species, and character displacement between these species.
著者
西田 佐知子 高倉 耕一 西田 隆義
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.41-50, 2015-02-20 (Released:2017-03-25)

繁殖干渉とは,繁殖の過程で他種から悪影響を受けることで起こる適応度の低下を指す.在来種に対する外来種からの繁殖干渉が確認された例は年々増加しているが,繁殖干渉の強さと両種の分布との関係については検証が始まったばかりである.そこで私達は伊豆の在来タンポポについて,外来タンポポ群との分布の関係と,外来タンポポ群からの繁殖干渉を調査した.その結果,在来と外来タンポポ群の局所的な密度には有意な負の相関がみられた.また在来の結実率は,外来タンポポ群の頻度が8割近くになるまで外来の頻度に応じた低下は見られなかったが,8割以上に増加すると急に低下した.本研究の結果から,伊豆の在来タンポポは外来タンポポ群からの繁殖干渉に概ね強いが,大量に外来タンポポ群が入り込むと存続が難しくなると予想できる.
著者
西田 佐知子
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.137-151, 2004-08-31 (Released:2017-03-25)
参考文献数
22
著者
高倉 耕一 松本 崇 西田 佐知子 西田 隆義
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.255-265, 2012-07-30
被引用文献数
1

種間に生じる繁殖干渉が生態学的に重要である理由は、この相互作用が種間の排除を最も強力にもたらすためである。一方で、外来生物による在来種の排除には多くの例が知られているにもかかわらず、外来種による繁殖干渉についてはほとんど研究例がなかった。西日本固有種で主に都市部での減少が注目されるカンサイタンポポを材料とした一連の研究により、野外において近縁外来種セイヨウタンポポの比率が高いほど在来種の結実率が低下すること、その直接的な要因が外来種からの種間送粉であること、その範囲が数メートルの規模におよぶこと、などが明らかになってきた。タンポポ類におけるこれらの研究は、繁殖干渉が、外来種が在来生態系に影響を及ぼす際の重要なメカニズムであることを示す一つのケーススタディになりつつある。本研究ではカンサイタンポポ個体群が衰退した要因としての繁殖干渉の重要性を更に検討するため、個体ベースのシミュレーションモデルを構築した。モデルには、既存研究で明らかにされた繁殖干渉に関わるパラメータに加え、野外において死亡率など両種の個体群動態に関わるパラメータを測定して用いた。シミュレーション解析の結果より、野外で観測される繁殖干渉の強度は1世紀程度の時間で在来種を衰退させるのに十分であること、その効果は人為的な撹乱がもたらす死亡率の増加によって増強されることなど、カンサイタンポポについて観測されてきたパターンと整合性が高いことが確かめられた。また、複数の外来種管理プログラムについて在来種個体群存続に及ぼす効果を検証し、より低コストで効果的な在来種保全手法についての提言を行った。これらの成果は、繁殖干渉の研究が在来種の衰退要因を理解する上で重要であるだけでなく、その保全においてもコストパフォーマンスに優れた対策の選択に貢献することを示している。
著者
西田 佐知子 西田 隆義 内貴 章世 市岡 孝朗 西田 隆義 内貴 章世 市岡 孝朗
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

他生物との共進化を類推させながらも、その多様化の原因や経緯が明らかではない器官に「ダニ室」がある。本研究ではガマズミ属植物を用い、ダニ室の形態・生態的多様性の実態を明らかにするため、形態学、分子系統樹との比較、生態学の調査を行った。その結果、45の調査種で、ダニ室の有無は地域・系統などでは分かれなかった。ダニ室の多くは毛束型だった。同地域の形態が異なるダニ室、同じ形態でも違う地域のダニ室、同地域で同形態だが違う季節のダニ室では、それぞれダニの種類や数が、一部重複はするものの異なった。これらの結果から、ガマズミ属のダニ室は環境に応じて並行的に進化し、特定のダニとの強い共生関係より、緩やかで多様な関係を保つ共生器官として機能している可能性が示唆された。