著者
津長 雄太 阪田 忠 藤岡 智明 増子 潤実 諏訪部 圭太 永野 邦明 川岸 万紀子 渡辺 正夫 東谷 篤志
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.667, 2010

イネ冷害は、穂ばらみ期の低温により、葯壁タペート細胞が本来委縮し崩壊に向かう過程で逆に肥大化し、花粉形成が阻害されることにより生じる。一方で、その分子機序について不明な点が多い。そこで本研究では、耐冷性極強のヒトメボレならびに耐冷性やや弱のササニシキを用いて、低温障害と各種植物ホルモンの生合成・応答にかかわる遺伝子群の発現変動との関連を明らかにすることとした。今回解析した遺伝子群は、Hirano et al.,PCP 49:1429によるマイクロダイセクション解析で、花粉小胞子またはタペート細胞での発現が明らかにされたものを選抜した。その結果、低温はGA生合成遺伝子群ならびにその応答性転写因子の発現量を上昇させ、この傾向は、ヒトメボレにおいてより顕著であることがわかった。また、これらは高温障害時に、逆に発現が低下し、GA関連遺伝子群の葯における発現は温度により調節される可能性が示唆された。オーキシン応答性遺伝子については、3細胞期の葯で低温により発現が増加すること、JAの応答の転写抑制因子JAZは発現低下が、その下流にあるMYC遺伝子は発現上昇が、それぞれ両系統でみとめられた。エチレン応答性遺伝子も低温により発現上昇がみられ、その傾向はササニシキにおいてより顕著であった。その他の植物ホルモンにかかわるデータとともに、ファイトトロンを用いた実験系に関する進捗状況も報告したい。<br>.
著者
鈴木 剛 渡辺 正夫 諏訪部 圭太
出版者
大阪教育大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

植物の受粉機構に関連する「ゲノム・遺伝子相関」を明らかにするために3つのプロジェクトを行った。第一に、形質転換実験によりインセスト回避をレストアできるかを検討し、シロイヌナズナの自家和合性の分子進化を考察した。第二に、アブラナ科植物の同一種内で受粉時の生殖障壁を生み出している新規生殖隔離遺伝子の花粉側・雌しべ側因子セットを同定し、機能解析により証明した。第三に、イネやアブラナの生殖器官特異的な包括的RNA解析により、受粉時の相関遺伝子の解析基盤を整備した。その過程で、イネ葯のmiRNAの網羅的解析から、耐冷性の高いイネ品種におけるmiRNAの遺伝子発現制御の役割を見いだした。
著者
渡辺 正夫 鈴木 剛 諏訪部 圭太
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

花粉と・柱頭でのコミュニケーションの障害が受粉時の「ゲノム障壁」として検出される。そこで、この受粉反応時に関連する遺伝子を分子遺伝学的手法により解析した。その結果、新規-側性不和合性、花粉特異的遺伝子群の機能解明、環境ストレス関連遺伝子の解明、コミュニケーションに重要である新規small RNAを大量に同定した。