著者
諸橋 正幸
出版者
多摩大学経営情報学部
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-18, 2011

東京(江戸)が日本の政治・経済・文化の中心になる前の古代から中世における広域多摩地域住民の気風を,多摩を中心とした地政学的観点から探る。 歴史現象から導き出された多摩人の気風は,(1) 武蔵七党などに見られる血縁関係による小規模で結束の固い自衛集団(武士団)を核に外の権力構造との(協力/反抗)関係を独自に判断し行動する独立心,(2) 自らを中心とした大きな組織を構成することを嫌い,「一所懸命の契約関係」のもと,外部に指導者を求めてその権力に自らを委ねる組織化力の弱さ,(3) 馬という移動手段を利用して広範囲にわたり収集した情報を基に,地政学的観点から時代の流れをいち早く捉え,積極的に外へ出て行くすばやい判断力と行動力,さらに馬の機動力を支える鎌倉街道を始めとする街道群,(4) 外部に求める指導者の資質として優れた武力と同時に,桓武平氏・清和源氏に代表される天皇家に繋がるような血筋を求めることである。 The paper investigates, from the geopolitical point of view, the spirits of the people who had lived in the extended Tama area in ancient-to-middle ages, before Edo (Tokyo) had not become the Japanese cultural, economical nor political center yet. In the result, we found the following characteristics: (1) they established small clans (Bushidan in Japanese) based on family members, who tried to unite, not the neighboring ones, but the political rights outside, (2) they could not become to be bigger clans because of their independent spirit, (3) they made quick and proper tactical decisions by their cavalry, (4) they recognized as a leader who had superior strength and nobility like Kanmu-Heishi, and Seiwa-Genji.
著者
丸山 宏 諸橋 正幸 野美山 浩
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.213-214, 1994-09-20

我々が現在取り組んでいる電子図書館[1]を始め、パソコン通信、GoPher,World-Wide Webなど、電子ネットワーク上で情報を提供する手段がポピュラーになり、個人がアクセスできる情報の地平線が爆発的に広がりつつある。そんな中で、欲しい情報を的確にアクセスするには、WWWサーバーなど新たな情報の固まり(これを情報集合と呼ぶことにする)に出あった時に、その集合がどのような情報を含んでいるかを自分なりに理解しておくことが非常に重要になる。例えば、この電子図書館は近代日本文学の蔵書が豊富であるとか、このパソコンネットはパソコンの技術的な内容に非常に強いとか、ローカルな気象情報は、どのWWWサーバーが最も最新か、とか、質の高い論文のリストは、どこのftPサイトで見つかりやすいとか、エンターテイメントで人気の高いのは、どこのBBSであるか、などという自分なりの理解である。このような「情報のありかに関する知識」は、簡単に得られるものではなく、個人の経験から蓄積されたものの方が多いようである。このように、ある情報集合の内容に関して、自分なりのイメージを描くことを、我々は、"Information Outlining"と呼ぶことにする。本稿では、"Information Outlining"が電子図書館を始め将来の情報社会に於いて非常に重要な概念であることを指摘し、これを助けるためのコンピューターの仕組みを研究する必要性を議論する。また、その一つの方策として、検索中に、現在の検索条件に合致する文書数はいくつか、また、他の検索キーについて、その検索キーを追加すると該当文書はいくつに絞られるか、を常にユーザーに提示するアイデアについて述べる。