著者
谷井 淳一
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.111-122, 2012 (Released:2016-03-12)
参考文献数
35

本研究の目的は,サイコドラマ効果測定尺度を開発することにある。調査は3回の調査全体で大学生312名(男子139名,女子167名,不明6名)について実施された。最尤法・プロマックス回転を用いて因子分析した結果,4因子が抽出され,第1因子は自己肯定感,第2因子は自己の再認識,第3因子は普遍性,第4因子は支えられ感,と命名された。これらの下位尺度について信頼性と妥当性の検討がなされた。さらに,312名のうちサイコドラマの授業を履修中の学生31人(男子11人,女子20人)には縦断的な調査が実施された。受講学生は授業に積極的なA群(16人)とやや消極的なB群(15人)に分けられた。サイコドラマの授業はグループごとに2週間おきに合計8回実施され,そのうち授業の終わりに5回調査が行われた。サイコドラマ参加者31人のうち,主役を1度以上経験したものを主役あり群(14名),主役を経験しなかったものを主役なし群(17名)として,5回の調査の結果を比較した。自己肯定感,自己の再認識については,最初のセッションから8回目にかけて有意な増加がみられた。普遍性については,A群にのみセッションを通じた増加がみられた。支えられ感については,B群の主役あり群にセッションを通じた増加がみられた。