著者
花村 一朗 仁田 正和 飯田 真介 谷脇 雅史 後藤 麻友子 JOHN Shaughnessy
出版者
愛知医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ヒト骨髄腫細胞株を用いた検討では、染色体1q21領域の増加/増幅の多くは1番染色体そのものまたは長腕の増多に伴って起きたものであり、jumping/tandem translocationといった複雑な転座様式をとったものは約30%であった。未治療MM例とは異なり細胞株においては1q21の増加の有無や増幅様式の差と、13q14欠失、17p13欠失、Ig領域との染色体転座で脱制御されるCCND1やFGFR3、c-MAF、MAFBなどとの間に有意な相関は認めなかった。このことは、細胞株は進行期の病変から樹立されることが多いためと思われるが、MMにおいて1番染色体長腕その中でも特に1q21は特異な領域であることが改めて示唆された。
著者
谷脇 雅史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.7, pp.1801-1806, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

染色体・遺伝子異常は,リンパ系腫瘍の病型分類,予後推定,治療選択の指標となる.double-color FISHが臨床検査法として確立しており,とくに,悪性リンパ腫と多発性骨髄腫におけるBCL2-IGH,CCND1-IGH再構成などの特異的IGH転座の検出に欠かせない.染色体分染法で病型特異的異常を単一細胞に検出した場合は,診断的意義を有しているのでクローン性を判定するために間期核FISH法で確認する.
著者
森下 和広 谷脇 雅史 中畑 新吾 西片 一朗 中尾 和貴 山川 哲生
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

成人T細胞白血病(ATL)のゲノム解析を行い、多数のゲノム異常領域を同定し、白血病関連遺伝子として、TCF8(ZEB1)、NDRG2、TSLC1、BCL11B、EPC1/AXSL2融合遺伝子を同定した。それぞれの機能解析から、TGFbeta抵抗性、細胞接着性の亢進に伴う臓器浸潤、細胞増殖促進等、多彩な性状を同定できた。またTCF8(ZEB1)、NDRG2、TSLC1についてはそれぞれの遺伝子改変マウスがTリンパ腫を中心とした腫瘍発症がみられ、癌遺伝子、癌抑制遺伝子候補として証明できた。HTLV-1感染以降、これらのゲノム異常に依存した多段階発白血病発症機構の端緒が開かれ、新規診断法や治療法の開発につなげることが可能となった。