著者
佐藤 茂 宮井 麻結 杉山 想 豊原 憲子
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.337-343, 2013
被引用文献数
2

パラチノース(イソマルツロース)は,近年まで,植物体中では代謝されないスクロースのアナログとみなされてきた.筆者らは,カーネーション花弁から得た粗酵素抽出液に,パラチノース分解活性が存在することをみいだした.カーネーション'リリアン'由来の粗酵素抽出液を用いて検討した結果,分解活性は,α-1,6-グルコシド結合をもつパラチノースとイソマルトースを分解する α-グルコシダーゼ活性によることがわかった.パラチノースは,カーネーション'リリアン'と'ピュアレッド','ライトピンクバーバラ'の開花を促進したが,ヒゲナデシコ'新緋車'の開花を抑制した.カーネーション花弁由来のパラチノース分解活性は,ヒゲナデシコの活性よりも数倍高かった.これらの結果から,カーネーションではパラチノースはグルコースとフルクトースを供給することにより開花を促進し,他方ヒゲナデシコでは分解されずに蓄積したパラチノースが α-グルコシダーゼ活性などの一般代謝活性を阻害することにより開花を抑制することが推察された.
著者
豊原 憲子 山本 聡 長谷 範子 土居 悟 岡田 正幸
出版者
大阪府環境農林水産総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

難治性小児気管支喘息による入院児童に対し、種まき-栽培-収穫-摂食の行程を中心とした園芸プログラムを実施した結果、活動による呼吸機能の低下は認められず、栽培体験と児童個人への管理責任の設定と栽培した植物を自宅家族に持ち帰ることが植物へのこだわりを高めて自主的行動を誘導した。このプログラムにより一症例で顕著なストレス軽減が認められ、病棟内での行動の改善と退院につながるなど、プログラムによる精神的安定と退院の時期に関連性があった。プログラムを提供する庭園内での児童の行動解析から、下草が繁茂して見通しの悪い植生が行動の制限要因となった。