著者
宮崎 道彦 黒水 丈次 豊原 敏光 竹尾 浩真 石橋 憲吾 皆川 紀剛 高野 正博
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.151-155, 2001-03
参考文献数
16
被引用文献数
2

平成4年12月から平成11年10月1日までに当院で手術を施行した「ホワイトヘッド肛門」16例の病態をretrospectiveに検討した.男女比は14:2,年齢は32~85歳(平均64.4歳).術前肛門管最大静止圧の平均値は60.8cmH<SUB>2</SUB>Oと低値であるが術前肛門管最大随意収縮圧の平均値は正常であった.観察期間は平均21カ月であった.年齢分布は60~69歳が最多で70~79歳がそれに続いて多かった.無症状期間は平均10.6年,病悩期間は平均26.6年であった.手術は16症例41病変に行った.そのうちわけはligation and excision,with sliding skin graft法(LE・SSG併用法)が21病変,ligation and excision法(LE法)10病変,sliding skin graft法(SSG法)4病変,McGivney rubber band ligation法(RBL法)6病変であった.術前症状としては出血,脱出,疼痛,分泌物付着の頻度が高かったがこれらの症状は手術治療により改善が認められた.しかし便失禁に関しては術後で症状の改善は認められなかった.
著者
辻 順行 高野 正博 久保田 至 徳嶺 章夫 嘉村 好峰 豊原 敏光
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.1026-1032, 1995 (Released:2009-06-05)
参考文献数
12
被引用文献数
12 7

1994年1月から12月までに当院外来を受診した症例の中で,直腸肛門病変を有しない20歳代から70歳代までの男性50例,女性49例を対象として,直腸肛門機能検査を行い以下の結果を得た.(1)肛門管最大静止圧,肛門管最大随意圧,排出圧は,男女ともに20歳代から60歳代までは,有意な差を認めなかった.しかし,70歳代では他の年齢と比較して男女ともに有意な低下を認めた.また性差で比較すると肛門管最大静止圧においては70歳以上では,有意な差を認めなかったが,69歳以下においては有意に女性の方が男性より低かった.肛門管最大随意圧と排出圧においては,69歳以下や70歳以上の群でも有意に女性が男性より低かった.(2)機能的肛門管長では,男女ともに20歳代が他の年齢群と比較して有意に短く,30歳代から70歳代では男女ともに有意な差を認あなかった.また性差で比較すると29歳以下や30歳以上の群においてもそれぞれ女性が男性より有意に短かった.(3)直腸感覚閾値,最大耐用量,直腸コンプライアンス等は,20歳代から70歳代までの,どの年齢群においても,男女ともに有意な差を認めなかった.以上より,肛門機能は直腸機能に比べて性差や加齢による影響が及びやすく,直腸肛門の手術の際には性や年齢を加味して手術術式の選択をすべきであると思われた.
著者
辻 順行 黒水 丈次 豊原 敏光
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.1030-1037, 1999-10-01
被引用文献数
2

平成9年4月から平成11年3月までに当クリニックで行われたday surgeryの218例を対象として分析を加え, 以下の結果を得た. (1) 同時期にクリニックで手術が決定された症例の内訳をみると, day surgeryが59%, 短期入院手術が5%, 普通の入院手術が36%で, day surgeryが過半数を占めた.また希望の入院日数に関するアンケートをみるとday surgeryが41.2%, 1週間までの入院が56.9%で計98.1%を占めた.以上より肛門疾患の入院日数は今後ますます短くなると思われた. (2) day surgeryの麻酔 (仙骨硬膜外麻酔または局所麻酔) については施行時の疼痛の強さ, 施行の際の難易性, 合併症の頻度, 診療時間等を十分に検討した上で決定すべきであると思われた. (3) 術後の早期出血については術後の安静時間を十分に確保すること, 創面に対し止血綿を使用するなど十分な止血操作を加えることで防止は可能と思われた.また痔核の晩期出血については最低3週間は溶解しない吸収糸の使用, 根部結紮にゴム輪結紮の併用や口側粘膜下に硬化剤の注射, 排便指導等を行うことで極力減らせると思われた. (4) 術後の疼痛については閉鎖術式の場合, 半閉鎖の高さを浅くする, 上皮のみを縫合するなど肛門の緊張を上げない工夫をし, 術前より緊張の高い症例では術中に緊張を下げる操作を加える, 嵌頓痔核の手術はしない.また結紮切除の数は肛門の緊張が弱い症例を除いては2ヵ所までとし, それ以上は二期的手術, 短期入院手術とすること等で軽減できると思われた.またアンケートをとると術後の鎮痛剤として, 坐薬は患者の挿入時の不安が強く, 経口薬が適当であると思われた. (5) 費用の点でday surgeryと2週間入院手術症例の比較を痔核症例で行うとday surgeryは入院手術の約1/4であった.
著者
辻 順行 高野 正博 久保田 至 徳嶺 章夫 嘉村 好峰 豊原 敏光
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.1026-1032, 1995-10
被引用文献数
14 7

1994年1月から12月までに当院外来を受診した症例の中で,直腸肛門病変を有しない20歳代から70歳代までの男性50例,女性49例を対象として,直腸肛門機能検査を行い以下の結果を得た.(1)肛門管最大静止圧,肛門管最大随意圧,排出圧は,男女ともに20歳代から60歳代までは,有意な差を認めなかった.しかし,70歳代では他の年齢と比較して男女ともに有意な低下を認めた.また性差で比較すると肛門管最大静止圧においては70歳以上では,有意な差を認めなかったが,69歳以下においては有意に女性の方が男性より低かった.肛門管最大随意圧と排出圧においては,69歳以下や70歳以上の群でも有意に女性が男性より低かった.(2)機能的肛門管長では,男女ともに20歳代が他の年齢群と比較して有意に短く,30歳代から70歳代では男女ともに有意な差を認あなかった.また性差で比較すると29歳以下や30歳以上の群においてもそれぞれ女性が男性より有意に短かった.(3)直腸感覚閾値,最大耐用量,直腸コンプライアンス等は,20歳代から70歳代までの,どの年齢群においても,男女ともに有意な差を認めなかった.以上より,肛門機能は直腸機能に比べて性差や加齢による影響が及びやすく,直腸肛門の手術の際には性や年齢を加味して手術術式の選択をすべきであると思われた.
著者
宮崎 道彦 豊原 敏光 黒水 丈次
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.267-272, 2004 (Released:2009-06-05)
参考文献数
16

当院で1991年から2001年の期間に外科的に治療した臀部膿皮症(慢性化膿性汗腺炎)18例をretrospectiveに検討した.再発は認めなかった.年齢は25歳から74歳で平均38±12歳,うち10例(56%)は40歳未満であった.病悩期間は5例(28%)が10年以上であった.5例(28%)は肛門周囲膿瘍または痔瘻を合併していた.痔瘻(肛門周囲膿瘍)の合併症例は複雑で病巣把握が困難であることが多く,手術回数(平均5回)や入院期間(平均95日)に影響をおよぼすため慎重に対処しなければならない.