著者
豊永 拓真 宮田 真人
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.270-272, 2023 (Released:2023-11-25)
参考文献数
9

魚病原菌であるマイコプラズマ・モービレの滑走運動は,ATP合成酵素から進化したと考えられるモーターによって駆動されている.私たちはその特殊なモーターを単離し,電子顕微鏡解析によってその三次元構造を明らかにした.その構造はATP合成酵素の二量体が鎖状に連なったような新奇なものであった.
著者
小林 昂平 古寺 哲幸 田原 悠平 豊永 拓真 笠井 大司 安藤 敏夫 宮田 真人
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.67-71, 2019-08-30 (Released:2019-09-07)
参考文献数
27

Mycoplasma mobile(以下モービレ)は,ペプチドグリカン層を持たない,魚の病原細菌(単細胞の生物)である.モービレは固形物表面にはりつき,はりついたまま滑るように動く滑走運動を行う.滑走メカニズムにおいて,モービレの細胞表面にあるタンパク質でできた“あし”が,宿主細胞表面のシアル酸オリゴ糖を引き寄せ,菌体を前に進める.この滑走運動は,細胞内部にあるモーターがATPを加水分解することにより駆動されるが,ATPの加水分解によりモーターがどのような構造変化を起こすかは明らかになっていない.そこで本研究では,高速原子間力顕微鏡(以下高速AFM)を用いて,細胞内部におけるモーターの動きを可視化することを目的とした.ガラス基板表面に貼り付けた細胞表面を高速AFMでスキャンすると,内部モーターと思われる粒状の構造がシート状に並んでいる様子が見られた.さらに,個々の粒子は滑走方向に対して右方向に8.2 nmシフトする動きを示した.