著者
三宅 晋司 佐藤 望 赤津 順一 神代 雅晴 松本 一弥
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.239-249, 1996
被引用文献数
1

室温のゆらぎ条件 (28~30℃: 1/fゆらぎに基づくもので, 平均45分の短周期ゆらぎと平均90分の長周期ゆらぎ) と28℃で一定の定常条件で温度制御を行い, 終夜睡眠ポリグラフおよび体表面皮膚温を測定した. さらに, 起床時に主観的睡眠感と温熱感の調査を行った. 被験者は健康な男子大学生12名で, 適応夜3夜の後, 3条件の実験を無作為の順序で行った. 睡眠時間は8時間 (11時30分就床, 7時30分起床) とし, 睡眠中はトランクスのみの裸の状態で寝具の使用も禁止した. 有効な10名についての結果では, 定常条件において stage IIの出現率が長周期ゆらぎ条件よりも多いことが示された. また, REM+徐波睡眠の全就床時間に対する割合を睡眠質の指標とした場合, ゆらぎ条件と定常条件間で有意差が認められ, ゆらぎ条件のほうがやや良い睡眠であることが示唆された. その他の各種睡眠パラメータおよび主観的睡眠感では条件間で有意差は認められなかった.