著者
笠松 慶子 鈴木 哲 辛島 光彦 泉 博之 神代 雅晴 二宮 理憙
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.125-131, 2004-06-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

本研究では, 月経周期の月経前期, 月経期および低温期の三つの時期において2種類の実験作業における作業パフォーマンスと月経随伴症状の違いについて検討した. その結果, 単純反応型作業での総作業量と反応時間においては月経周期の時期の影響を受ける傾向があり, 低温期では他の二つの時期に比べて作業パフォーマンスが高いことが認められた. 状況対応型作業では月経周期の時期の影響は認められなかった. 月経期には身体的な変化, 月経前期には精神的な変化が強く現れた. なお, 本研究の被験者は7名と少数であり, 限定されたデータから得られた結果である.
著者
三宅 晋司 佐藤 望 赤津 順一 神代 雅晴 松本 一弥
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.239-249, 1996
被引用文献数
1

室温のゆらぎ条件 (28~30℃: 1/fゆらぎに基づくもので, 平均45分の短周期ゆらぎと平均90分の長周期ゆらぎ) と28℃で一定の定常条件で温度制御を行い, 終夜睡眠ポリグラフおよび体表面皮膚温を測定した. さらに, 起床時に主観的睡眠感と温熱感の調査を行った. 被験者は健康な男子大学生12名で, 適応夜3夜の後, 3条件の実験を無作為の順序で行った. 睡眠時間は8時間 (11時30分就床, 7時30分起床) とし, 睡眠中はトランクスのみの裸の状態で寝具の使用も禁止した. 有効な10名についての結果では, 定常条件において stage IIの出現率が長周期ゆらぎ条件よりも多いことが示された. また, REM+徐波睡眠の全就床時間に対する割合を睡眠質の指標とした場合, ゆらぎ条件と定常条件間で有意差が認められ, ゆらぎ条件のほうがやや良い睡眠であることが示唆された. その他の各種睡眠パラメータおよび主観的睡眠感では条件間で有意差は認められなかった.
著者
三宅 晋司 神代 雅晴
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.391-404, 1986-12-01

本研究では, 交通機関内などの騒音状況下でのヘッドホンによる音楽聴取が聴覚に及ぼす影響について検討した. 札幌市内の4つの交通機関内(国鉄, 地下鉄, 路面電車, バス)および街頭と地下街を歩行中の騒音を録音し, これらを防音室内にて再生した. その中で聴力正常な女子大学生に音楽をヘッドホンにて聴取させ, その際の聴取音圧(Most Comfortable Loudness)を測定した. 被験者は7名であり, そのうち2名(A群)は, あらかじめ用意した3種類の音楽(ロック, ポピュラー, ニューミュージック)を各2曲ずつ, 他の5名(B群)は各自が自由に選んだ2曲を聴取した. また, A群については, 各音楽種類毎に, 最も大きい聴取音圧の得られた騒音条件を選び, 同一条件で30分の音楽聴取を行い, 2分後の一過性難聴(TTS2)を測定した. さらに, 騒音および音楽の1/3オクターブバンドでの周波数特性, 音圧変動(変異係数)およびうるささ(noy)を求め, 聴取音圧との関連について検討した. 聴取音圧は街頭騒音下で最も大きいことが示された. 音楽種類間では, 聴取音圧に有意差は認められなかったが, 最も大きい聴取音圧はロックに対して見られた. TTSでは20dB近い値が一耳に認められ,騒音状況下でのヘッドホンの使用の危険性が示唆された.