著者
塩見 直人 平泉 志保 野澤 正寛 岩田 賢太朗 松浦 潤 越後 整
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.629-636, 2019 (Released:2019-10-25)
参考文献数
32
被引用文献数
1

CT設置数が多い日本において有用な軽症頭部外傷のCT施行基準を検討した. 成人はGCS 14であればCT必要, 次いで年齢が60歳以上, または何らかの症状があればCT必要とする. これらに該当しなかった場合は, 頭部の外傷所見があるか, 危険な受傷機転と判断した場合をCT推奨とする. 小児は①GCS 14, ②精神状態が普段と異なる (いつもと様子が違う), ③頭蓋骨骨折が触知できる, のいずれかに該当した場合をCT推奨とする. それ以外では, 2歳より上と2歳以下で基準を分けて設定し, なるべくCTを施行せずに入院して経過観察を行う. 放射線被曝の影響が危惧される小児では, MRIを活用したプロトコールも検討すべきである.
著者
後藤 幸大 岡 英輝 横矢 重臣 橋本 洋一 越後 整 塩見 直人 武澤 秀理 田邑 愛子 藤井 明弘 日野 明彦
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.357-361, 2018 (Released:2018-09-25)
参考文献数
9

頭痛・頸部痛など解離に伴う痛みで発症した椎骨動脈解離は比較的予後良好とされるが,その中にくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage: SAH)を来し予後不良となる例がある.いずれの例がSAH を来すのか予め把握するのは困難だが,痛みで発症した椎骨動脈解離を初診時に確実に診断することが重要である.当院初診時に診断に至らず,SAH を発症し再受診した4 例を検討し報告する.4 例は年齢層,頭痛や頸部痛が中等度以上かつ悪化すること,時間外に救急外来を受診していることが一致していた.再診後は速やかに血管内治療を行い,退院時mRS 0 が2 例,mRS 4 が2 例だった.日常診療において上記のような患者に遭遇した場合,椎骨動脈解離を念頭にbasi-parallel anatomical scanning を含めた頭部MRI/MRA,頭部造影CT を考慮すべきである.SAH を来し再受診した場合,速やかな治療で予後良好となる可能性がある.